研究課題/領域番号 |
22K20421
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0301:材料力学、生産工学、設計工学、流体工学、熱工学、機械力学、ロボティクス、航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
田畑 邦佳 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (80963959)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 電気推進 / 高比推力 / イオンエンジン / マイクロ波放電 / DESTINY+ / はやぶさ2 / 大電力電気推進 / ダイアモンドライクカーボン / 発光分光 |
研究開始時の研究の概要 |
将来の深宇宙探査に向けて、従来よりも高い比推力の電気推進機が求められている。マイクロ波放電式イオンエンジンは、プラズマ生成用の電極が不要なため耐久性に優れているが、比推力向上に向けてより高い電圧を印加した際に放電が不安定となり、推力が低下することが課題となっていた。本研究では、プラズマ生成に直接影響を与える非平衡電子エネルギー分布に着目し、高電圧印加時においても非接触でプラズマ診断可能な発光分光を実施する。そして、本手法で得られた結果を手掛かりに、放電が不安定化しない運転パラメータ(マイクロ波周波数、放電室形状)を模索し、高比推力型イオンエンジンの安定作動を実現する。
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研究成果の概要 |
本研究は,木星以遠の外惑星探査に資する超高比推力マイクロ波放電式イオンエンジンの実現を目的とした.先行研究では,イオン加速電圧7.5 kVにおけるイオン引き出しの不安定性が課題だった.本研究では,マイクロ波が伝播する導波管の表面状態が動作不安定性に強く関連していることを明らかにし,推進機設計を微調整することで安定作動を実現した.その結果,推力25 mN, 比推力6,600秒を達成できた.また,一万時間級の長時間運転により,導波管上にグリッド由来のカーボンが堆積し波長短縮効果が現れるが,この効果を考慮した長期的視点での最適設計を実施することが耐久性向上に有効であることも明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で実現した7 kVの高い耐電圧をもつガス絶縁器は,ホールスラスタなど他の電気推進システムにも適用可能であり,学術的価値が高い.また,長時間運転によるマイクロ波放電式イオンエンジンの比推力劣化現象の原因と対策も明らかにした.本研究により,比推力を従来の2倍以上に向上させただけでなく,その比推力を長期間維持できる解決策を提示できたことで,増速量10 km/s以上を要するミッションや,小惑星のマルチフライバイ探査など,推進剤重量の削減が鍵となる深宇宙探査ミッションに大きな貢献が期待される.
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