研究課題/領域番号 |
22K20424
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0302:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安永 竣 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80963628)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マイクロボロメータ / 定温制御 / プラズモニクス / 中赤外 / 分光器 / 中赤外線 / 分光 / ボロメータ / フィードバック制御 |
研究開始時の研究の概要 |
物質固有の光吸収にもとづいて物質の種類を可視化するする分光技術は,装置(分光器)の小型化によって実験室外での幅広い応用が期待できる.小型化に適した方法として,波長によって応答の異なる受光器を複数用いてもとの光吸収特性を推測する方法がある.しかし,分光分析に最も有用な光の波長帯域である中赤外領域で動作する分光器は,光を熱に変換して計測する原理により,熱伝達を抑える真空パッケージと,波長を選択的に受光器に導くフィルタが必要で,これらが小型化を制約している.本研究ではこれらを不要とする,受光器を一定温度に保つ制御と,金属ナノ構造による波長選択性をあわせた小型中赤外分光器の実現可能性を検証する.
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研究成果の概要 |
シリコンで作製した熱抵抗素子アレイによって隣接ボロメータの熱的クロストークを評価した結果,距離に応じて減衰するクロストークが観測されたが,外部から電気エネルギーにより発熱を適切に補うことで,素子を一定温度に保ち,隣接素子からのクロストークを相殺できることが確認された.また,マイクロコンピュータによってリアルタイム定温制御可能なシステムを構築した. その上で,中赤外光への応答性の異なるナノ金属構造をもつボロメータのデバイスの製作プロセスを構築し,ボロメータアレイの光応答を確認した.プロセス不全のため前述の定温制御システムへ直接適用するには至らなかったが,一部を改変することで対応できると考えられる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ボロメータはサーモグラフィの形ですでに我々の生活に入り込んでいる身近な技術だが,非シリコン製の受光素子を熱的に基板から隔離し,真空パッケージしなければならないという常識がある.しかし本研究は,そのようにせずとも制御の力を借りてより簡便にボロメータの機能を実現できる可能性を示す点で学術的意義がある.本研究では特に,シリコンベースのボロメータ表面にプラズモニック構造をつくることで中赤外分光器の実現を目指しており,その見通しがたったということは非常に小型で安価な中赤外分光器の実現可能性が高まったということである.人間の目に見えない差を可視化するデバイスの実現で情報化社会の安全性を高める技術となる.
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