研究課題/領域番号 |
22K20431
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0302:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大友 佳嗣 長崎大学, 工学研究科, 助教 (60964442)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ワイヤレス電力伝送 / トポロジー最適化 / 電力伝送効率 / パワエレ回路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ワイヤレス電力伝送における回路負荷特性やコイル間相対差を考慮した送受電コイルのトポロジー最適化法を確立し,システム全体の効率を飛躍的に改善することを目的とする。本手法により,米国SAEが定める電力効率の国際基準85%を大幅に上回る,電気的および磁気的に高性能なワイヤレス電力伝送を実現可能とする。
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研究実績の概要 |
申請者らはワイヤレス電力伝送装置の磁気特性に着目したトポロジー最適化法をこれまで開発し,結合係数や漏洩磁界を飛躍的に改善できることを示してきた。しかし,これまで提案してきたトポロジー最適化では,ワイヤレス電力伝送装置の回路特性まで考慮した最適化には至っていなかったため,システム全体の電力伝送効率を改善する観点において課題が残されていた。 本研究では,ワイヤレス電力伝送装置の磁気特性および回路特性の双方に着目した送受電コイルのトポロジー最適化法を開発し,電気的および磁気的に高性能なワイヤレス電力伝送装置を実現する。 2022年度は上記目的を達成するため,次の研究を実施した。(1)送受電コイルの実製造性を考慮した形状最適化を実現するため,パラメータ最適化とトポロジー最適化を組み合わせる,ハイブリッド最適化法を新たに開発した。(2)磁気特性と回路特性を同時に考慮するための最適化アルゴリズムを新たに構築した。(3)近接効果に起因するコイル巻線の交流抵抗の評価を容易に実現するため,申請者らがこれまでに開発した「均質化有限要素法」を上記の最適化アルゴリズムに導入した。(4)ハイブリッド最適化法により得られる送受電コイル形状の工学的特徴を抽出するため,主成分分析を利用した特徴量抽出のための手法を開発した。また,主成分分析により得られる主要な特徴量に対して局所探索を施し,更なる特性改善を実施する手法を開発した。 これら研究成果の一部は既に国内学会において発表しており,提案法により得られた最適形状については現在,特許出願中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に開発したハイブリッド最適化法により得られる送受電コイルを用いることで,コイル間のギャップ変動や位置ずれの有無によらず,90%以上の電力伝送効率を実現できると確認した。また,上記に示す高効率を達成するための条件を3次元磁場分布および,回路理論を用いて明らかにした。以上より,2022年度は当初の計画通り,順調に研究が進捗していたと考える。 なお,上記の研究成果については電磁界解析に関する最大の国際会議(Compumag 2023)で発表した後に,学術雑誌(IEEE Transactions on Magnetics)に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は以下の研究を実施予定である。(a)研究協力先の企業と共に得られた最適形状の実機試作を行い,実測結果と数値計算結果を比較することで提案法の有効性を明らかにする。(b)電力伝送効率の算出精度向上のため,コイル巻線の交流銅損のみならず,磁気コアに発生する鉄損まで考慮した形状最適化法について検討する。(c)主成分分析を利用した特徴量抽出および局所探索法について,実際の設計開発現場に応用するための詳細な追加検討を実施する。
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