研究課題/領域番号 |
22K20457
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30964647)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 鋼構造 / 梁端接合部 / 繰返し荷重 / 小振幅 / 破断寿命 / 材料構成則 / 繰返し塑性 / 累積損傷 / 長周期地震動 |
研究開始時の研究の概要 |
継続時間の長い長周期地震動が超高層建物に作用すると、建物を構成する柱や梁といった部材は多数回の繰返し荷重を受けることになる。本研究は、地震時に大きな応力が作用する梁端接合部に着目して、比較的小さな変位振幅となる繰返し荷重を多数回作用させた場合の梁端接合部の構造性能を実験的、解析的に調査するものである。梁端の耐力劣化挙動や破断寿命といった本研究により得られる知見は、超高層建物の鉄骨梁の設計において有用なものとなる。
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研究実績の概要 |
本研究は、長周期地震動により多数回の繰返し荷重を受ける超高層鉄骨造建物を対象に、塑性率が1程度以下の比較的小さな変位振幅の繰返し荷重を受ける梁端接合部の限界性能を解明しようとするものであり、実験と解析の両面による検討を通じて、超高層建物の鉄骨梁の累積損傷の評価につながる成果を得ることを目的とする。 この目的を達成するため、本年度は、試験体の設計、製作を進めると同時に、実験を実施する予定である試験フレームでセットアップなどが同様の鉄骨梁の実験が進行中であったので、この実験を利用して、き裂観察用のカメラの配置、性能および撮影方法の検討を行った。試験体の梁端は空間的な制約が多く、計測機器類も密集するため、理想的な位置にカメラを設置することができないが、試行錯誤の末、き裂の発生および進展状況をある程度の精度で観察できるカメラの配置および撮影方法を決定することができた。 これと並行して、実験を模擬するための有限要素解析についても検討を進めた。小振幅の繰返し載荷を扱う場合は汎用プログラムに実装されている材料モデルでは実現象の再現精度に難があるので,材料構成則に関する既往の研究を参照しながら,特に小振幅の繰返し塑性ひずみを受ける場合の鋼材の弾塑性挙動を精度良く表現することのできる材料モデルを新たに考案した。さらに、この材料モデルのパラメータを適切に設定するために、H形鋼から切り出した丸棒試験片を用いた一軸繰返しの材料試験の計画を立て、当該試験を実施するための試験片、載荷治具、および変位計の設計、製作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は梁試験体の実験を完了する予定であったが、試験体の納入が完了するに留まり、実験を実施するまでには至らなかった。しかしながら、実験開始前に検討が必要と想定されていたき裂観察用のカメラの配置や撮影方法については既に検討済みであり、すぐにでも実験を開始できる段階にある。また、次年度に実施予定であった有限要素解析の検討を試験体の製作期間中に進めることができ、構造用鋼材の材料モデルの開発やこのモデルのパラメータを適切に設定するための材料試験の計画、準備を進めることができた。開発した材料モデルについては2022年度の日本建築学会関東支部研究報告集にも投稿できたことから、進捗としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、先ず、梁試験体の繰返し載荷実験を遂行し、小振幅の繰返し荷重を受けるときの梁端接合部の限界性能およびき裂の発生・進展状況の分析を進める。さらに、H形鋼から切り出した材料試験片を用いた繰返し載荷の材料試験を実施し、材料としての限界性能についても調査する。これと合わせて、本年度に開発した材料モデルを汎用の数値解析プログラムに組み込み、材料の挙動から梁部材の挙動を追跡できるかどうか、梁部材の累積損傷を適切に評価できるかどうかについて検討していく予定である。
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