研究課題/領域番号 |
22K20462
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
坪内 健 札幌市立大学, デザイン学部, 助教 (80964907)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 集団移転 / 経年変化 / 環境移行 / 住宅地計画 / 東日本大震災 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東日本大震災の集団移転計画で課題となった残余宅地の発生から解消に至るまでの動的なプロセスに着目し、計画時から利用時までの長期的な経年変化の実態から集団移転計画を捉え直していくことを目的とする。整備戸数の変遷からみる集団移転計画の俯瞰的整理、集団移転地における残余宅地の発生と解消の経年的分析、パイロット的事例にみる住民の流動性と住宅地計画の経年評価の実施を通じて、立地や事業規模、住宅地計画など複数の要因によって生じる長期的な経年変化から多様な集団移転計画の枠組みを導くことで、将来の災害のみならず災害前から深刻な人口減少と過疎化に直面する東北地方の被災地にとっても有益な知見の提示を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、パイロット的事例にみる住民の流動性と住宅地計画の経年評価に着手した。具体的には、パイロット的事例に選定した気仙沼市小泉町地区を対象に、参加型ワークショップのもとで実現した住宅地の経年評価を住民へのインタビュー調査によって明らかにした。 その結果、住民による再定住の過程や住宅地への評価は必ずしも肯定的なものではなく、とりわけ過疎化が進行する地区の状況や新型コロナウイルスの感染防止による自治活動の中断が住民の認識に与える影響は大きい様子が窺えた。住民は住宅地への転入者を好意的に捉えているものの、そうした経年変化を地区の環境移行へと肯定的に組み込むには課題があることが見出される。 一方、インタビュー調査では、調査者が住宅地の評価を聞き出す際に、住民と現状を経年変化とともに確認するとそれによって住民の認識が肯定的なものへと転換することがあった。これは、住民が自らの環境移行に対する認識を他者と共有することで知的な理解を越えた腑に落ちる経験へと昇華することができたと解釈でき、環境移行に対する継続的な調査の有効性が示唆される。こうした継続的な調査が住民の長期的な環境移行を安定させる可能性を有していることについては、環境移行に関する調査の方法論として今後より精査して考察する必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿っておおむね順調に進行している。申請時に予定していた研究課題であるパイロット的事例にみる住民の流動性と住宅地計画の経年評価を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査によって得られた調査の方法論に関する新たな論点を踏まえ、より多くの研究成果が得られるように研究を推進させていく予定である。
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