研究課題/領域番号 |
22K20470
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
縄田 諒 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (70962851)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 空き家 / 農山村 / データベース / 悉皆調査 / 所有者意識 / 住宅 / 非居住住宅 / 農村 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,日本国内における空き家問題解決への一助を大きな目的として行う。日本では年々空き家数が増加し続けている。マイホームといった住宅は,人によって建物の価値以上の特別な存在であると考えられ,空き家と一言で済ますことができるほど所有者が単純に捉えていない可能性がある。一括りに空き家として扱うのではなく,個別で扱うことで新たな空き家の発見に繋がり,空き家問題の解決の糸口になると考えられる。空き家を一軒ごとにデータベース化管理することで,建物と所有者の関係を個別に明らかにする。本研究は対象地域の空き家データベースを作成し,空き家現状と所有者意識の関係を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、愛知県の中山間地域における「空き家」を対象に研究を行なっている。高齢化率が50%を超える地域において、空き家を一軒ごとにデータベースソフトにおいてデータベース化することで、「建物」と「所有者」の関係を個別に明らかにすることを目的としている。当該年度では本研究の根幹でもある空き家調査項目の検討と、空き家データベースの制作を完了している。空き家データベースは本研究の重要な要素であり、作成したデータベースを用いることで空き家数・状態・所有者意識などの関係を個別に分析することが可能である。いくつかの異なる地域においてデータベースを作成することで、全国の中山間地域において軽微の変更でデータベースを適応できることを目指し、それにより、様々な地域での空き家状況の分析が形態化することが可能であると予想している。 また、空き家位置の特定に際する準備段階も完了した。本研究は、対象地域における空き家の悉皆調査も目的の一つとしている。悉皆調査によって対象地域の抱える空き家問題が顕在化すると同時に、所有者と空き家の関係性も明らかにできる。しかし、空き家位置の特定は実施時間や労力が大きな負担となる調査であり、特定における調査方法を確立することができれば、今後の空き家問題解決への糸口となると考えている。本研究では、過去数年間のゼンリン住宅地図と電話帳を併用し、住宅地図における名前の削除、および電話帳からの番号の削除データを元に空き家化している予測をたて、その予測を元に調査を行なっている。ゼンリン住宅地図と電話帳における空き家化予測の作業は完了しており、予測データを元に地域住民へのヒアリングを実施し空き家位置の断定を行う。 空き家データベース作成と地域空き家の位置把握手法の確立は、実施事例数を増やすことが必要であり、本研究対象地と別地域での実施と適応も視野に入れて研究を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の進捗状況について、相対的に見ると遅れている状況となってしまった。遅れている原因としては、空き家データベースの修正と改変が一つ挙げられる。既存の和歌山県における空き家調査に置いて作成していたデータベースにおいて、プログラムの修正・改変、入力内容・調査内容の変更点がいくつか発見されたため、データベースの作成・修正に大きな時間が割かれたのが原因である。和歌山県から愛知県へ調査対象が変化したことによる調査実施項目の変化が発生した。調査実施項目の変更により、空き家データベース内のプログラム変更を余儀なくされ、調査項目の再検討と再プログラムを行なった。調査項目の再検討と、空き家データベースのプログラム修正は完了しており、これらの問題に関しては解決済みである。 また、空き家調査位置の特定が難航していることも理由としてあげられる。数年間にわたるゼンリン住宅地図、対象地の電話帳を用いて、空き家状態のある程度の予測を立て調査を行うが、住宅地図と電話帳の照合に時間を要しているのが原因としてあげられる。 加えて、地域住民への直接的なヒアリングが感染症の影響で困難であったこともあげられる。住宅地図・電話帳の照合のみでは確実な空き家位置情報の取得が困難であるため、地域住民へのヒアリングが必要不可欠である。しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症が完全に収束したとは言えない状況でもあり、直接的なヒアリングを避けて調査を継続していた状況にある。今年度に入り、新型コロナウイルス感染症の社会的状況も大きく変化してきたこともあり、住民へのヒアリング問題は大きく改善されると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、昨年度より急速に前進すると予想している。昨年度最も時間を要してしまった、調査項目の再検討とそれに伴う空き家データベースのプログラム修正はすでに解決済みであり、今後の修正などは発生しないと予想される。それに伴い、空き家現地調査を完了すればすぐにデータベースの構築が可能となる状況である。 また、本研究の重要点である空き家位置の特定であるが、ゼンリン住宅地図と電話帳を併用した方法による実施状況は令和5年度4月時点で8割終了しており、地域住民へのヒアリングによる断定のみとなっている。研究内容からも、地域住民との接触は必要不可欠であり、場合によっては住民との長時間の対話などを余儀なくされる場合がある。新型コロナウイルス感染症の社会認識も大きく変化しつつあり、昨年度以上の民との対話が可能だと考えている。空き家位置の特定と空き家状態の調査、地域住民へのヒアリングを同時並行で行うことが可能であり、令和5年度9月末を目処に以上の3点の調査が完了すると予測している。しかし、感染症の影響がいつ新たに発生するかが予測できない状況でもあるため、各役場や自治体へ資料提供をお願いし、町内会長や自治会長といったヒアリング対象を限定する状況でも調査が続行できる環境を整えておく。 本研究において空き家所有者へのヒアリング・アンケートが課題の一つであると考えている。個人情報が大きく関係する研究内容でもあり、全ての空き家所有者の特定が困難、もしくは不可である可能性も考慮する必要がある。令和5年9月末から令和6年1月末を目処に所有者への調査を検討しているが、調査状況によって、空き家所有者へのヒアリング・アンケートを特定の対象に限定の方針へと変更する。所有者情報の取得には長期間の地域との密接な関わりが必要であると考えており、助成金の終了後も調査継続を行う必要性があると予想している。
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