研究課題/領域番号 |
22K20476
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥山 浩人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80961101)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バイオセンサー / 多孔質膜 / プラズマグラフト重合 / クリック反応 / 分子認識 / イムノセンサー / マルチアッセイ / POCT / シグナル増幅 |
研究開始時の研究の概要 |
先進的な医療診断に向けて、複数分子を同時かつ異なるシグナルとして読み取れるバイオセンサーを開発する。センサー基盤には多孔質膜を用い、微細孔中に抗体が集密化された反応場へ検体を積極的に透過させて迅速性と高感度を両立する。さらに二種のバイオマーカーを、細孔内酵素反応に基づく光学シグナルと細孔内重合反応に基づく圧力シグナルにより、独立かつ同時に検出する。また適切な検出システムの構築に加えて、血清など実用的な検体での実用可能性を実証する。
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研究実績の概要 |
患者の周りで行うことができる医療検査、すなわちポイントオブケア検査を充実させていくために、迅速、高感度かつ実践的なバイオセンサーが強く求められている。本研究では、多孔質高分子膜を基盤として用い、細孔内重合による透過圧シグナルと酵素反応による光学シグナルの両方で駆動可能な、高感度な膜型バイオセンサーの開発を目的とする。 本年度はまず、分子認識に基づく細孔内重合を駆動するために、重合開始剤が導入された検出抗体の開発を行った。原子移動ラジカル重合法(ATRP)に対応する重合開始剤を高反応性、高選択性な銅フリークリック反応を用いて検出抗体内に複数導入することに成功した。さらに、ELISAを用いたサンドイッチアッセイによって、作製した抗体の活性が保たれていることも確認した。 さらに、膜基板に対してもプラズマグラフト重合とクリック反応を順次適用することによって、捕捉抗体を高密度に導入することができた。これによって、標的分子を高感度に検出することが可能になった。さらに、低ノイズを達成するために、グラフトポリマー骨格内に親水性基を導入した。グラフトポリマー中の親水基比率を制御して系統的調査を行ったところ、10mol%で十分な非特異的吸着に対する優れた抑制能と分子検出能を両立できた。ここで開発された膜型センサーを用いて光学シグナルを介した分子検出を行ったところ、バイオサンプル中においてもpg/mlオーダーの高感度な分子検出が1時間の検査時間で達成できることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、親水性ポリマーを導入した新しい膜型バイオセンサーの開発によって、分子認識により信頼性の高い光学シグナルを発現させることに成功した。さらに、細孔内重合に関する技術に関しても、既に重合開始基を検出抗体に導入できており、来年度で行う重合型分子検出に対する基盤を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
細孔内重合で生成させるポリマー種の検討を行い、より効率的に細孔閉塞を起こすための手法を構築する。また細孔内で生成するポリマー分子量、細孔径、生成圧力シグナルとの相関を調べ、本システムに適した膜構造を探索する。そして、上記検討によって選択された膜材料と増幅機構を用いた分子検出試験を実施し、細孔閉塞による分子認識システムを実証するとともに、検出感度などの特性評価を実施する。 さらに、既に初年度に構築された光学シグナル増幅による分子検出法とシステムを統合し、マルチアッセイにも対応可能な分子検出法を提案する。このシステムについても、光学シグナルと圧力シグナルに関して検出感度等の詳細な調査を行い、既報のマルチアッセイ手法と比較し、その優位性を実証していく。
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