研究課題/領域番号 |
22K20479
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内藤 剛大 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任助教 (80963991)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 電極触媒 / 水電解 / アニオン交換膜 / 中性pH / 再生可能エネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
再生可能エネルギーの積極導入のためには中核を担う水素製造装置、及び製造される水素に大幅なコスト低減が求められる。この要求に対し、本研究では、未実用だが高いコスト低減可能性を持つ中性pH水電解に着目し、その効率を実用レベルまで高めることを目指す。特に、水電解槽が操業される高反応速度で運転可能なアニオン交換膜(AEM)型水電解を対象とし、検討例の無い中性pH濃厚緩衝水溶液を電解質として用いることで、従来AEM型水電解の実用化を阻む安定性と価格に関する懸念を払拭する高効率な基礎的水電解槽の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
再生可能エネルギーの導入において中核を担う水素製造装置、及び製造される水素には大幅なコスト低減が求められている。既存のアルカリ水電解槽の開発は1世紀以上の非常に長い時間をかけて開発されてきており、水電解システムの大幅なコスト低減のための一つの方策として非連続的な技術革新が挙げられる。そこで本研究では、高反応速度で運転可能なために次世代型として注目されているアニオン交換膜(AEM)型水電解を対象とし、高効率かつ低コストな水電解槽の構築を目指している。特に、検討例の無い中性pHの電解質を使用することでAEM水電解の持つ課題解決を狙っている。 本年度はこれまでの研究成果を踏まえ、電解質として中性pHの濃厚緩衝溶液に着目し、その物性評価を実施した。まず、電気化学測定装置によって電解質性能を評価するためのシステムを構築した。種々の濃度の緩衝溶液を用意し、水電解において重要となる性質がAEMを含めたシステムにおいてどのように作用するのかについて評価を行った。また、これらの結果について従来電解質として用いられる水酸化カリウム水溶液と比較した。 また、H型セルを用いた評価システムを構築し、これを用いてAEM水電解に対する電解質種の影響についても評価を実施した。これらの評価を通じてAEM水電解に対して電解質種を中性pH緩衝溶液にすることで、水電解性能にどのような影響を与えるのかについて知見を得た。これらの知見は、AEM型水電解を実用化する上での課題を解決するための指針となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行するにあたって必要な設備の準備を実施し、研究体制を整えた。また、実施した研究内容として、まず、本研究で対象とする中性pH領域の様々な濃度の電解質溶液を調整した。また、それらの中性pH電解質溶液に対し水電解性能に影響を与えると考えられる物理化学的特性を調査し、影響の定量評価を実施した。その後、電気化学試験を行うための実験環境を整備し、前述した、物理化学的特性を調査した中性pH領域の溶液を用いた電気化学試験を通じて、従来の電解質を用いたAEM型水電解の性能と今回対象とする中性pH電解質条件での水電解性能との差を明らかにした。以上の研究進捗状況は研究計画に沿うものであるため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の検討結果を基に、AEM中性pH水電解に用いる電解質の最適化を実施する。また、その電解質を水電解セルに適用し水電解試験を実施する。この際、本研究の主眼は電極触媒開発ではないため、イリジウムや白金といったモデル電極を用いる予定である。この試験を通じ、AEMを用いた中性pH水電解の性能評価と課題の抽出を実施する。
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