研究課題/領域番号 |
22K20480
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
巽 裕章 大阪大学, 接合科学研究所, 講師 (00961757)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 半導体実装 / 複合材 / はんだ / 熱伝導性 / ポーラス材料 / 剛性 |
研究開始時の研究の概要 |
電力制御用パワー半導体に対して、大電流に対応するための高電流密度化の要求が高まっている。そのため、パワー半導体内部の半導体チップと回路基板をつなぐ接合部には、熱を逃がす高熱伝導性と熱ひずみを緩和する低剛性の両立が求められている。 本研究計画は、接合部の内部に異方的な微細複合構造を創出することによって、狙った特性を狙った方向に発現させる新規接合プロセスの提案と、微細複合構造の設計指針を得ることを目的とする。具体的には、一方向性貫通孔を有するポーラスCuとSn基はんだを複合化する接合プロセスの開発と、得られた構造が熱的・機械的特性に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
電力制御用パワー半導体に対して、大電流に対応するための高電流密度化の要求が高まっている。そのため、パワー半導体内部の半導体チップと回路基板をつなぐ接合部には、熱を逃がす高熱伝導性と熱ひずみを緩和する低剛性の両立が求められている。 本研究では、接合部の内部に異方的な微細複合構造を創出することによって、狙った特性を狙った方向に発現させる新規接合プロセスの提案と、微細複合構造の設計指針を得ることを目的としている。具体的には、一方向性貫通孔を有するCu箔(ロータスCu箔)とSn基はんだを複合化する接合プロセスの開発と、得られた構造が熱的・機械的特性に及ぼす影響を明らかにする。 本年度は、被接合部材間にロータスCu箔とはんだ箔を挟みこみ、ロータスCu箔の気孔にはんだを溶融浸透させることによって、一方向に優れた熱伝導率を示す接合プロセスを考案した。このとき、接合部の内部の欠陥(ボイド)を十分に低減することが重要である。今回考案した手法では、はんだが溶融浸透する際の周囲の圧力を下げることにより、残留する気泡を積極的に接合部の外へ排出することが有効であることを見出した。加えて、接合温度、はんだの体積、およびロータスCu箔の形態が、接合後のボイド率、はんだ層の厚さ、微細構造、およびせん断強度に及ぼす影響を明確化した。 以上の各種パラメータを統合的に制御することによって、はんだ単体の熱伝導率(55 W/m K)の約3倍に相当する、151 W/m Kの熱伝導率を得ることに成功した。このことにより、従来のはんだ付と同様に簡便で、かつ非常に良好な熱伝導性を示す接合手法として期待できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
はんだとロータスCu箔を複合化する接合手法の考案と、得られる接合部の熱的・機械的特性の評価を進めている。当初の予定通り、2022年度はそのうち熱的特性(熱伝導性)の評価を行い、その有効性を実証することができた。また、良好な熱伝導性を得るためのキーパラメーターとして、はんだ供給量と接合時の雰囲気圧力が重要であることを見出している。 2023年度に実施を予定している機械的特性の評価に向けた部材と装置の準備をすでに完了している。したがって、当初計画どおりにおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度考案したロータスCu箔へのはんだの溶融浸透現象を活用した接合方法の確立に向け、2023年度はロータスCu箔の気孔の形態の影響評価に注力していく。さらには、当初予定の機械的特性への影響評価を開始する。また2023年度後半には、得られた接合部として重要な評価指標である温度サイクル信頼性評価に着手する予定である。これらの結果を総合して、接合部の内部に異方的な微細複合構造を創出することによる接合部の特性制御の可能性を見出すのみならず、本研究手法の半導体機器への応用の可能性を検証していく。
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