研究課題/領域番号 |
22K20537
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
盛満 裕真 九州大学, 工学研究院, 助教 (60961696)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一本鎖 / 直接観察 / セグメント運動 / 固体界面 / 複合材料 / 高分子 / 構造 / 物性 / ダイナミクス / 原子間力顕微鏡 / 接着 / 活性化エネルギー / ポリスチレン / 吸着・接着 / 孤立鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、固体基板上に種々の高分子の孤立鎖を調製し、AFMに基づき、その分子鎖形態の時間依存および温度依存性を直接観察する。Differential Dynamic Microscopy (DDM) 法をはじめとする種々の画像解析に基づき、各空間スケールにて、緩和時間を抽出する。温度依存を検討することで緩和マップを作成し、バルクや表面、界面におけるセグメント運動の緩和マップと比較し、ダイナミクスを議論する。
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研究成果の概要 |
本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてポリスチレン(PS)吸着鎖の熱運動を可視化することを目的とした。シリコンステップ基板上にポリスチレン超希薄溶液をスピンキャストすることで、基板上に分散したPS孤立鎖を調製した。AFMのタッピングモードに基づきPS孤立鎖の形状像の経時変化を評価した結果、孤立鎖の上に高さの揺らぎが観測された。各位置における高さの経時変化から、自己相関関数(ACF)を作成し、緩和時間を抽出することで、緩和時間マップを作成した。種々の温度で測定し、緩和時間マップの温度依存性を取得した。結果、ループの熱運動性の観測のみでなく、脱着や吸着といった現象が観測できたことが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子の熱運動の理解は、材料物性・機能性の正確な設計・制御に繋がる。特に、主鎖セグメントの解放 (or凍結) によって達成されるガラス転移は重要な物性の一つである。これまで多くの概念が提唱されてきたが、その描像には未解明な点が多い。一方、固体上に吸着した分子鎖はループおよびトレインと呼ばれる形態を取る。ここでループおよびトレインは、それぞれ基板に接触点を持つおよび持たないセグメントを表す。今回直接観察に成功した、ループの熱運動性は、本質的にセグメント運動に近い運動であると考えられる。すなわち、今回の結果は、高分子のガラス転移の分子描像に大きな影響を与えると期待でき、学術的・社会的意義は大きい。
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