研究課題/領域番号 |
22K20551
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平本 薫 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (40963038)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 電気化学発光 / 脂質二分子膜 / イメージング / 人工脂質二重膜 |
研究開始時の研究の概要 |
生命において物質・情報伝達のやり取りの場となるのが脂質二重膜であり、そこで生じる分子の衝突や取り込みなどのイベントを可視化する技術の構築は、生命現象の基礎的な理解においても、新しいバイオ素子の応用展開においても重要である。本研究では、電極上に再構築した人工脂質二重膜を基盤として、電気化学発光現象を利用して膜イベントを検出するイメージング手法を開発する。電気化学発光は電極反応がトリガとなる発光現象であり、電極‐溶液界面の状態を高感度に反映した情報が得られる。電流情報と光学系での位置検出の組み合わせによりモデル膜の新規解析手法の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、電気化学発光顕微鏡を用いて脂質二分子膜の形成をイメージングする系を構築した。平板電極上にリン脂質膜を展開し、ルテニウムビピリジン錯体とトリプロピルアミンの電気化学発光によって表面観察を行うと、1.1 V以上の電圧でわずかな発光が見られた。電圧依存的な発光は複数回の電圧掃引でも繰り返し観察できたことから、ルテニウム錯体のレドックス反応によるものと考えられる。さらに構成脂質をアニオン性・中性・カチオン性と変えると、発光が生じる電位も酸化側にシフトし、ルテニウム錯体と脂質膜の静電的相互作用により脂質膜の見え方が変化することが分かり、ラベルフリーな新規の脂質膜イメージング系を構築できた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
支持脂質二分子膜は細胞膜を人工的に基板上に再構成したものであり、生命・病理に関わる細胞膜の機能を解明するための有望な分子モデル系として認識されている。生体膜の重要な要素として電気容量や抵抗が挙げられるが、これらの電気的特性を計測する手法はあるものの同時に脂質膜の平面空間情報膜を得ることは困難なため、膜機能のより深い理解と幅広い応用が制限されてきた。本研究では膜表面を電気化学的に直接観察する新たな手法として電気化学発光顕微鏡を開発し、電圧依存的に変化する発光検出システムを構築した。本研究成果により脂質膜の物理化学的特性評価と表面観察が同時に行えるようになり、生体膜研究の推進が期待できる。
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