研究課題/領域番号 |
22K20554
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
長谷川 慎吾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (40964804)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ナノ合金 / C-H結合活性化 / 酸化的脱水素カップリング / アレーン / ビアリール / 脱水素カップリング / アセトキシル化 / 脱水素型クロスカップリング / 固体触媒 / C-H活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
異なるアレーン類のC-H結合を活性化してC-C結合形成を行う脱水素型クロスカップリング(CDC)反応は、従来必要であったハロゲン・ホウ素の導入を経ない理想的な反応形式であるが非常に高難度である。複数の金属元素から成るナノ粒子・ナノクラスター(すなわちナノ合金)は異種金属間の電子移動や特異な表面原子配列に由来して新奇な触媒作用を示すことが知られているが、CDC反応への適用例は知られていない。本研究では構造を制御した担持ナノ合金触媒によってCDC反応を達成し、高活性かつ選択的なC-H活性化を可能とするナノ合金触媒の設計指針を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
アレーン類の酸化的カップリング反応は活性化されていない基質からビアリール化合物が一段階で得られる優れた反応である。本研究課題では、(1)担持PdRuナノ合金触媒がアレーンの酸化的ホモカップリングに対し非常に高い活性を示すこと、および(2)PdRu触媒が酸化的クロスカップリングに対しても展開可能であることを明らかにすることで、アレーンの酸化的カップリングに対するナノ合金触媒の有効性を実証した。 ベンゼンのホモカップリングをモデル反応として、種々の触媒組成・担体・調製条件を検討した結果、Al2O3に担持されたPdRuナノ合金が特異的に高い触媒活性を示し、純Pd触媒の約4倍の触媒回転数を示した。反応条件の最適化によってPdRu/Al2O3の触媒回転数は453に到達し、既報のPd触媒を超える回転数を達成した。さらに、PdRu触媒は他の置換ベンゼンに対しても100を超える触媒回転数を示し、ジフェニルエーテルの分子内C-Hカップリングでは触媒回転数が1000に到達した。置換ベンゼンの反応性を比較すると、電子求引性置換基によって反応が促進される傾向が見られた。また、ベンゼンについて一次の速度論的同位体効果が観測され、C-H結合の切断過程が律速であることが示された。以上の置換基効果・速度論的同位体効果の結果、および反応に酢酸が必須であることから、協奏的メタル化脱プロトン化機構によってアレーンのC-H活性化が進行していることが明らかとなった。STEM-EDSおよびXAFSによる構造解析の結果、PdRu触媒においてはRuによって電子不足なPdサイトが形成し、C-H活性化が促進されることで触媒活性が向上していることが示唆された。現在、電子求引性置換基を有する置換ベンゼンを基質、ベンゼンを溶媒とすることで、酸化的クロスカップリングが選択的に進行することを見出している。
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