研究課題/領域番号 |
22K20570
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0601:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 史恵 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (60961612)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 5-リポキシゲナーゼ / シクロオキシゲナーゼ-2 / トロンボキサン合成酵素 / 生理活性脂質 / エイコサノイド / シクロオキシゲナーゼ / リポキシゲナーゼ / アラキドン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
アラキドン酸は、リポキシゲナーゼ (LOX) 経路もしくはシクロオキシゲナーゼ (COX) 経路の2つの古典的経路によりエイコサノイドへと代謝され、炎症や組織の恒常性維持において中心的役割を果たす。しかし、慢性炎症性疾患の発症を既知のエイコサノイドの生合成阻害では完全に抑制できないことから、古典的経路で生合成されるエイコサノイドだけでは全ての生体応答を説明することができず、アラキドン酸代謝経路の全容解明が求められている。そこで本研究では、”5-LOX/COX-2クロストーク”により生成される新規エイコサノイドの探索と、その生理活性の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
標品5-OH-thromboxane B2の作製を行った。作製には一重項酸素付加反応を用い、thromboxane B2と光増感剤であるメチレンブルーを4℃にて一晩反応させた。サンプルをHPLCにより分析・精製した後、質量分析装置による解析を行った結果、 thromboxane B2の5位の炭素にOH基を有する5-OH-thromboxane B2の生成が確認された。さらに、精製した標品5-OH-thromboxane B2を用いて、質量分析装置による検出の最適化を行い、5-OH-thromboxane B2の定量方法を確立した。 5-OH-thromboxane B2を検出するin vitroの系の確立を行った。5-OH-thromboxane B2の産生に必要な酵素である5-リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2、トロンボキサン合成酵素の3つの酵素の発現が期待されるヒト血液由来細胞であるHL-60を用いて検討を行った。DMSOを4日間処理し、成熟顆粒球へと分化させたのち、LPS刺激によりシクロオキシゲナーゼ-2の発現を誘導した結果、シクロオキシゲナーゼ-2により産生されるprostaglandin E2/D2、トロンボキサン合成酵素によって産生されるthromboxane B2の生成が確認された。また、カルシウムイオノフォア刺激により、5-リポキシゲナーゼにより産生されるleukotriene B4の生成が確認された。これらのことから、成熟顆粒球へと分化させたHL-60に適切な刺激を行うことで、5-OH-thromboxane B2の産生に必要な酵素である5-リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ-2、トロンボキサン合成酵素の三つの酵素を発現することが明らかとなり、成熟顆粒球へと分化させたHL-60がin vitroモデルとして使用可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、一重項酸素付加反応を用いて標品5-OH-thromboxane B2を作製することができた。またin vitro のモデルとして使用するヒト血液由来培養細胞の選定ができた。
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今後の研究の推進方策 |
刺激した分化ヒト血液由来培養細胞から5-OH-thromboxane B2の検出・定量を行う。合わせて5-OH-thromboxane B2の生理活性の評価を進めていく予定である。
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