研究課題/領域番号 |
22K20576
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0601:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 駿也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50964227)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | べん毛 / TLR5 / 腸内細菌 / 共生 / 自然免疫 / 腸管免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
宿主の免疫系は病原細菌と共生細菌に対して「排除」と「許容」という相反する応答を示し、生体の恒常性を維持している。宿主細胞上の受容体「TLR5」により病原細菌のべん毛抗原「フラジェリン」を感知することで、病原細菌を排除することはよく知られている。一方、腸内共生細菌もTLR5に感知され得るべん毛を持つものが存在するが、なぜそれらは宿主免疫系によって排除されずに、腸内に常在できるのだろうか。本研究では、ヒト腸内の共生細菌が有するべん毛に着目し、受容体TLR5との相互作用を徹底的に明らかにすることで、宿主免疫が共生細菌を排除することなく「許容」する未だ知られざるメカニズムの解明に一歩迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では「腸内に共生する有べん毛細菌は、なぜ宿主免疫系に排除されないのか?」という問いに迫るために、ヒト腸内に共生する有べん毛細菌種がToll-like receptor 5 (TLR5)を介して炎症応答を誘導するのか、あるいは誘導しないのか、を徹底的に解明することを目的とした。本年度はべん毛関連遺伝子群をゲノム上に持ち、ヒト腸内常在菌として知られているLachnospiraceae科に属する細菌のべん毛が炎症応答を誘導するのかをin vitroで解析した。まず、菌株保存機関よりLachnospiraceae科の細菌を複数株入手し、運動性を顕微鏡にて観察した。運動性が確認できた菌株については超遠心分離によりべん毛を精製した。TLR5を介した炎症誘導作用を評価するため、ヒト腸管上皮細胞由来のCaco-2細胞を精製したべん毛タンパク質で刺激し、産生誘導されたIL-8をELISAにより定量した。その結果、試験した全てのべん毛タンパク質でIL-8の産生誘導が確認された。また、べん毛タンパク質によるIL-8の産生誘導能は菌株ごとに大きく異なった。続いて、べん毛タンパク質のTLR5による認識に関わるアミノ酸配列をアライメント解析したところ、べん毛タンパク質ごとに当該配列に違いがみられた。この結果から、IL-8の産生誘導能の差異はTLR5認識配列の違いに起因する可能性が示唆された。今後はin vivoにおいて各菌株が炎症応答を誘導するのかを解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Lachnospiraceae科細菌のべん毛が炎症応答を誘導することをin vitroにて明らかにした一方で、当初予定していたin silicoでの解析が遅れているため。今後はin silicoでの解析とin vivoでの解析を並行して進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フラジェリンデータベースと公共のヒト腸内細菌叢のメタゲノムデータを活用し、ヒト腸内に存在する有べん毛細菌種及びそれらの存在比を推定する。既に精製したべん毛については糖鎖修飾の解析やべん毛繊維の安定性を評価していく。また、in vitroにおいてべん毛の炎症誘導作用が高かった菌株についてはin vivo試験で炎症応答を誘導するのかを評価する。具体的には、無菌マウスの腸内に有べん毛細菌を定着させ、糞便中の有べん毛細菌数とフラジェリン遺伝子発現をCFU測定とqRT-PCRによりそれぞれ定期的に調べる。また、炎症応答の指標として、糞便と血液中のフラジェリン特異的抗体価や炎症性サイトカインをELISAにより経日的に測定する。
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