研究課題/領域番号 |
22K20584
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0602:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
野村 ちひろ 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 契約研究員 (70965384)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イネ / 遺伝子重複 / コピー数多型 / CNV / OsMADS18 / Copy Number Variation / MADSボックス / 葉身幅 |
研究開始時の研究の概要 |
水稲品種「ひとめぼれ」を母本とした交雑後代集団から、葉身幅に関する新規の量的形質遺伝子座qLW7を同定した。このqLW7領域内に座乗する候補遺伝子であるOsMADS18が、ひとめぼれゲノムにおいて重複して存在していることを見出した。これらより、OsMADS18の重複というゲノム構造変異がその転写量に変化をもたらし、葉身の生理形態形質に影響を及ぼすという仮説が考えられた。 本研究では、OsMADS18の重複の片方をノックアウトさせた変異体を作成し、その遺伝子発現量および生理形態学的機能を調査し、この仮説を検証する。加えて、OsMADS18の重複変異が現代品種に保存されてきた意義を解明する。
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研究実績の概要 |
水稲品種「ひとめぼれ」では、ゲノム上にOsMADS18遺伝子が重複して存在している。このOsMADS18の遺伝子重複がイネの生理形態に与える影響を解明することを目的として研究を進めた。 本年度は、OsMADS18を含むゲノム重複領域内を認識するgRNAを用いたCRISPR/Cas9により、ひとめぼれゲノム上に二つ存在するOsMADS18の一方を切り出した形質転換体(T0)を作成することに成功した。得られた形質転換体の世代を促進し、後代(T1)の中から異なるカルス由来のヌル分離個体を複数選抜することができた。 また、遺伝子重複の有無は通常のPCR法によって識別することができる一方で、遺伝子重複がヘテロまたはホモで存在している場合の個体の識別はこれまで困難となっていたが、ゲノム重複と無関係のゲノム領域のDNAのPCR産物をコントロールとし、ゲノム重複の接合部のDNAのPCR産物を定量PCRで解析することにより、遺伝子重複がヘテロで存在する個体とホモで存在する個体を識別する方法を確立した。 ゲノムワイド関連解析およびQTL解析によって、これまでにOsMADS18近傍に葉身幅に関するピークが検出されているため、OsMADS18を含む候補領域についてファインマッピングを実施し、葉身幅に関する遺伝子が存在する領域を絞り込んだ。 加えて、DNAマーカー利用選抜を実施し、上記のファインマッピングに使用した集団の中からOsMADS18が座乗するゲノム重複を含む1Mbpの領域がゲノム重複の存在しないindica型に置換されたひとめぼれ背景の準同質遺伝子系統を作出し、また次年度により高い精度でファインマッピングを実施するための系統群を選抜することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OsMADS18のコピー数多型を人為的に減らした形質転換体を作出し、それらのヘテロとホモを識別し選抜することができたことに加え、OsMADS18の準同質遺伝子系統群の作出も進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
作出した準同質遺伝子系統やCRISPR/Cas9によってコピー数多型がヘテロとなったヌル分離個体(T1)の後代(T2)を用いて、OsMADS18の遺伝子発現量および生理形態形質を調査するとともに、OsMADS18の遺伝子重複が発生した祖先と選抜過程を解析することで、OsMADS18の遺伝子重複がイネ育種に与えた生理形態学的意義を解明する。
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