研究課題/領域番号 |
22K20594
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
山岸 松平 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (20944119)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多湿心材 / 含水率 / 木部繊維 / クライオ走査電子顕微鏡 / 広葉樹 / ケヤキ / ユーカリ / ヤチダモ / 木材組織 / 多湿材 / 心材 / 壁孔 |
研究開始時の研究の概要 |
広葉樹のなかには、幹の中央部(心材)が高い含水率を示す多湿心材をもつ樹種がある。多湿心材は、乾燥コストを高める木材利用上の障害であるため、その発生を制御することができれば有益であるが、その基礎となる多湿心材の発生メカニズムは未解明である。本研究では、多湿心材の発生メカニズムの解明に向けて、木材の水分布の可視化手法を用いて、多湿心材に至るまでに木材組織へ水が流入していく過程を明らかする。さらにこの流入過程が木材組織の構造に決定づけられているという仮説のもと、各種細胞の構造を電子顕微鏡等で詳しく解析し、多湿心材を引き起こす木材組織の構造的特性があるかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
特定の広葉樹で確認される多湿心材(辺材よりも高い含水率を示す心材)について、その水の流入過程や、木部組織構造との関係を明らかにすることを目的に、多湿心材をもつ樹種の生材中の水分布を可視化するとともに、組織構造を観察した。多湿心材をもつとの見解があるケヤキ、ヤチダモ、ユーカリの3樹種の幹内における細胞レベルの水分布が明らかになり、ケヤキの多湿心材については晩材側から水が流入していること、ユーカリは多湿心材というよりも幹全体が高含水量の樹種であることなどが示唆された。また、多湿心材の発生と木部繊維の特性に関係があることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
木材利用上の問題が指摘されている多湿心材について、その現象理解に寄与する水分布に関する知見を3樹種で得るとともに、従来の含水率計測に基づく樹幹内の水分布に関する知見のなかに、必ずしも実質的な水分布を表現していないものが紛れている問題も浮き彫りにした。また、従来、通水機能が重要視されてこなかった木部繊維について、多湿心材との関係からその通水特性を検討することの学術的意義を提示した。本成果は樹木生理学や木材学を含む基礎・応用分野の両面に貢献するものと考えられる。
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