研究課題/領域番号 |
22K20598
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0604:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
矢田谷 健一 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (70949487)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 魚道 / 河川環境 / 通し回遊魚 / 小型魚 / 模型実験 / 多自然川づくり / 自然環境 / 水理実験 / 運動解析 |
研究開始時の研究の概要 |
遊泳能力が弱い小型通し回遊魚(ニホンウナギやウキゴリ等)を主とする多様な魚種が遡上可能となる既設魚道の低コストな局部改良の技術開発を目指す。 本研究では、そのスタートとして、原寸大相当の階段式魚道の隔壁越流部の模型を作製し、幾何形状・水理条件を系統的に変化させた遊泳実験を行う。これによって、小型通し回遊魚が遡上困難となる条件を定量化し、既設魚道の局部改良へ応用するための知見を集積する。
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研究実績の概要 |
研究代表者らは、遊泳能力が弱い小型通し回遊魚(ニホンウナギやウキゴリ類、カジカ属等)を主とする多様な魚種が遡上可能となる既設魚道の低コストな局部改良の技術開発を目指している。 本研究は、そのスタートとして、原寸大相当の階段式魚道の隔壁越流部の模型を作製し、幾何形状・水理条件を系統的に変化させた遊泳実験を行い、小型通し回遊魚が遡上困難となる条件を定量化し、既設魚道の局部改良へ応用するための知見を集積することを目的としている。 当該年度は、実験に必要となる原寸大相当の魚道実験水路を完成させた。本実験水路は、全長約6m、幅1.4m、高さ1.4mの鋼製矩形水路である。また、観察および撮影用に、側壁と床板の一部は透明アクリル製としている。実験にあたっては、流量、隔壁高、隔壁形状、プール間落差を変更できる仕様としており、既設階段式魚道の多様な越流条件を再現できる。 また、当該年度は、次年度に予定する魚道の遡上実験に先立ち、基礎的なデータ収集を目的とし、カジカ小卵型の遊泳能力の想定実験を行った。本実験によって、河川遡上期の標準体長2cm台のカジカ小卵型は、70cm/s以上の流速では全く前進できないことを明らかにした。さらに、流速50cm/s以下の流れ場であれば、一般的な魚道隔壁厚に相当する30cmまで前進できる個体が半数以上となることがわかった。これらの知見は、次年度の実験の基礎資料となるばかりでなく、魚道設計全般の有益な知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画のとおり魚道実験水路が完成し、概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、作製した実験水路と既設高架水槽の接続管水路を完成させる。その後、魚道模型遡上実験に着手する。遡上実験では、供試魚を水路内に放流し、供試魚が隔壁越流部の遡上を試みる行動を側方、上方または下方からビデオカメラによって撮影する。別途、三軸電磁流速計を用いて越流部及びプールの3次元流況を詳細に計測する。撮影と計測後に、動画解析ソフトによって供試魚の遡上軌跡を座標化し、流況図(ベクトル図・コンター図)と重ね合わせて魚の挙動と流れの関係を分析する。 魚種別・条件別に上記の実験を行い、供試魚の遡上成功率を定量化し、小型通し回遊魚が遡上困難となる階段式魚道の幾何形状・水理条件を明らかにする。
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