研究課題/領域番号 |
22K20610
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0605:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
オブライエン 悠木子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20582464)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国際取引 / 感染症 / 愛玩鳥 / フィリピン / ワカケホンセイインコ / トリボルナウイルス / オウム病クラミジア / ST35 / 違法取引個体 / クラミジア / 新型ウイルス / エキゾチック動物 |
研究開始時の研究の概要 |
新興感染症を制御するために、国際取引される野生及び愛玩動物の病原体を監視する必要がある。しかしながら、国際取引される野生及び愛玩動物の病原体の多くは輸出入の過程において監視対象から外れており、海外原産のエキゾチック動物の病原体の保有状況は明らかになっていない。国際取引されたエキゾチック動物、日本で野生化した海外原産の動物における病原体の調査を行うことで、病原体の分布や問題点を明らかにする。
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研究実績の概要 |
①フィリピンの違法取引個体でのトリボルナウイルスの検出 これまでに、フィリピンにて違法取引が摘発され環境保護施設に収容されている鳥類153羽及び輸出許可を有する動物飼養施設の鳥類147羽の糞便から3検体にてトリボルナウイルスを検出している。今年度は陽性であった3検体に関して、塩基配列決定の準備を進めた。フィリピンに渡航してトリボルナウイルスの複数の遺伝子領域をPCRにより増幅し、PCR産物を電気泳動し、切り出したゲルをカラムにより精製した後にプライマーと混合して-20Cに保存した。現在、フィリピン国内での塩基配列決定のための手続き調整中である。 ②日本で野生化した外来種のオウムにおけるクラミジアの検出 日本に愛玩目的で輸入された海外原産の鳥が野生化した事例としてワカケホンセイインコ(Psittacula krramerimanillensis)がある。これまでに、Hela細胞にて分離を試み、細胞質内封入体を確認している。今年度は、抗オウム病クラミジア抗体を用いた蛍光抗体法により、オウム病クラミジアの分離を確認した。また、分離したオウム病クラミジアを次世代シークエンサーを用いて解析し、全ゲノムを決定した。 染色体ゲノムは1,168,809 bp であり、プラスミドは7,630 bpであった。Multi locus sequence typingにより遺伝子型を決定したところ、ST35であり、鳩型と呼ばれる遺伝子型であることが明らかになった。このことから、野鳥の間で種を超えてオウム病クラミジアが伝播している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィリピンでの違法取引個体のオウムおよび国内で野生化した外来種のオウムのサンプルで検出した病原体のさらなる解析を進めた。 特に、オウム病クラミジアに関しては、病原体の分離および全ゲノム配列の決定に成功し、オウム病クラミジアの全長配列をデータベースに登録することができた。これは日本で2例目であった。今後、日本のオウム病クラミジアの分離と全ゲノム配列の決定を行なっていくための基盤のなる技術を確立できた。データベースを充実していくことで、伝播や病原体の進化などの解析に繋げていくことができる。 フィリピンでのトリボルナウイルスに関しては、塩基配列決定のための準備を進めることができた。フィリピンでの塩基配列決定のための外注システムが弱いため、調整に時間がかかっているが、次年度には塩基配列を決定できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フィリピンにて検出したトリボルナウイルスの塩基配列を決定したのち、世界的に見て特殊な株であれば、分離を試みる。また違法取引個体の由来を明らかにし、由来元に他に感染している鳥がいないか調査する。
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