研究課題/領域番号 |
22K20620
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0605:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
志賀 崇徳 麻布大学, 獣医学部, 助教 (20963482)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 筋ジストロフィー / 心筋症 / 豚モデル / ランゲンドルフ灌流心 / 光学マッピング解析 / ベッカー型筋ジストロフィー / 光学マッピング / ジストロフィン / 不整脈 / 豚心筋症モデル |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋病変が軽症のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)では、約半数の死因は心筋症である。申請者らが確立したBMD豚心筋症モデルは、心臓に顕著な形態的変化を認めない生後3か月齢において、イソフルラン吸入麻酔負荷によりはじめて不整脈を示す。すなわち、BMD心筋症の初期病態が再現される特色ある動物モデルである。 本研究の目的は、この豚モデルの心臓を摘出して生体外で拍動させるex vivo実験系で、異常興奮伝播やカルシウムイオン動態を高速度カメラで光学的に計測し、心筋症の初期病態を機能と形態の両輪で解明することである。本研究の実現は、BMD心筋症の治療研究の重要な起点となることが期待される。
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研究成果の概要 |
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)豚心筋症モデルの摘出心臓を用いたex vivo解析により、ジストロフィン欠損による心筋症の初期病態を機能と形態の両輪で解明することを目的とした。この豚モデルの保因雌豚を3回交配させ、生体でのイソフルラン吸入麻酔下での心電図検査を実施した。また、心臓を摘出し、ランゲンドルフ法による灌流心を作成、心電図記録、不整脈誘起、光学マッピング解析を実施した。その結果、生体および摘出灌流心の両方においてイソフルラン麻酔による不整脈発生を再現でき、BMD豚心筋症モデルの有用性を確認した。さらに、BMD豚心筋症の不整脈時の心筋の異常興奮伝播(機能異常)が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトBMD患者では骨格筋機能や呼吸機能が保たれた状態でも、重症心筋症を発症することから、約半数の死因は心筋症である。また、無症状のBMD患者が激しい運動や麻酔処置を契機に不整脈を発症し、突然死する事例も報告されているが、現在の医療では心筋症初期段階での突然死を予防できない。本研究では、豚のBMD心筋症の初期病態における不整脈時の心筋異常興奮伝播(機能異常)を明らかにした。今後は灌流後の心臓の組織病変を形態学的に精査する。不整脈の病理発生機序を解明することができれば、ヒトBMD心筋症の治療研究の重要な起点となり、不整脈の病理診断においてもブレイクスルーとなることが期待される。
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