研究課題/領域番号 |
22K20623
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
原口 武士 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (30736963)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ミオシン / アクチン / シロイヌナズナ / モータータンパク質 / 植物ミオシン / 分子モーター / 細胞骨格 / 原形質流動 |
研究開始時の研究の概要 |
動かない植物においても動物と同様に多くの種類のミオシンが存在する。植物ミオシンの役割としては、既知のものは原形質流動の駆動、核膜形態形成の維持やエンドサイトーシスなどに限られている。研究代表者は植物ミオシンが多様な運動速度、酵素活性をもつことを明らかにした。また、最近、研究代表者は植物ミオシンには多様な様々な機能未知のドメインが存在することを見いだした。これらのことから、研究代表者は植物ミオシンには様々の未知な機能、未知の役割があると考えている。本研究においては、植物ミオシンの様々な機能未知ドメインの機能に焦点を当て、植物ミオシンによる新規の植物成長制御機構を明らかにすることを目的とした。
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研究実績の概要 |
モデル植物シロイヌナズナには、クラスXIミオシンが13種類、クラスVIIIミオシンが4種類存在する。ミオシンXIの既知の主要な役割には、原形質流動の駆動がある。ミオシンVIIIは原形質連絡の開閉に関わることが示唆されている。しかし、植物ミオシンには機能未知ドメインが存在しているために、その生理機能は十分に理解されてはいない。そこで本研究では、植物ミオシンの様々な機能未知ドメインが関わる生理機能およびその機構を明らかにすることを目的とした。 去年度は、シロイヌナズナミオシンの機能未知ドメイン欠損体の酵素活性を測定し、生化学的な側面から機能未知ドメインの生理的な役割を明らかにした。令和5年度は、機能未知ドメインのみを大腸菌にて精製し、高濃度に濃縮した。濃縮したタンパク質を用いて生化学的実験を行い、生理的役割を探索した。 また、シロイヌナズナのクラスVIIIミオシンのカルモジュリン様タンパク質による運動調節機構を詳細に明らかにした。令和5年度においては、他のクラスVIIIミオシンのカルモジュリン様タンパク質による運動調節機構を明らかにし、カルシウムによる影響も調べた。 さらに、シロイヌナズナ細胞内においてアクチン束にシロイヌナズナミオシンが与える影響を定量し、シロイヌナズナのミオシンの新たな生理機能の一端を明らかにした。令和5年度は、シロイヌナズナのミオシンのどのドメインがアクチン束に影響するのかを、分子生物学的・生化学的手法で調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高濃度の植物ミオシンの機能未知ドメインは、生理的バッファーで凝集する性質を有していた。今後は、より生体内に近い条件での実験を検討する。 シロイヌナズナのクラスVIIIミオシンのカルモジュリン様タンパク質による運動調節機構に関する研究は、査読付き国際誌に掲載された。 さらに、ミオシンXIの運動調節機構に関する軽鎖の探索を国際共同研究として開始した。in vitro motility assayにて、軽鎖によるミオシンXIの運動調節機構を調べている。 アクチン束化実験に関しては、ミオシンXIの変異体を昆虫培養細胞で発現・精製し、生化学的解析によりアクチン束に関わる部位が、ドメインレベルで絞り込めた。 上記のような進捗から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズナのクラスVIIIミオシンの機能未知ドメインの生理的機能をさらに探索するために、ミオシン全長コンストラクトを作製し、アクチンを加えるなど、より生体内に近い条件で実験を行う。 シロイヌナズナミオシンXIの軽鎖による運度活性への影響に関しては、共同研究者と論文を執筆中である。論文は2024年度には投稿予定である。 アクチン束化実験に関しては、ミオシンXIの変異体を昆虫培養細胞で発現・精製し、生化学的解析によりアクチン束に関わる部位のアミノ酸レベルでの絞り込みを行う。
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