研究課題/領域番号 |
22K20639
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
大野 速雄 日本女子大学, 理学部, 講師 (00747272)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 胚発生 / エピジェネティクス / 表現型可塑性 / 線虫 / 動物-微生物相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
分子生物学における優れたモデル生物である線虫C.エレガンスは、胚発生中に正確に558個(雄では560個)の細胞をつくり、個体差がない発生を行うと考えられてきた(サルストンら, 1983年; 2002年ノーベル生理学医学賞)。しかし研究代表者らは最近になって、線虫の母親が有害な腸内微生物を経験すると、その子の胚で内胚葉細胞が過剰な分裂を起こし、発生が左右非対称に変化することを発見した。本研究では、この現象において、腸内微生物がどのように作用するのか、さらに発生変化がどのように世代間で制御されるのかについて、変異体の単離や生化学的手法を組み合わせ、分子レベルで解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
線虫C.エレガンスの母親が有害腸内微生物を経験すると、子の内胚葉細胞が過剰分裂して胚発生が左右非対称に変化し(選択的胚発生)、この変化により生殖能力が維持される。本研究は、この現象について、遺伝学的解析を中心とした分子メカニズムの解析を行った。研究期間内に、(1) 有害微生物の非存在下でも胚発生様式が変化するような変異体の単離、(2) 選択的胚発生をより効果的に検出できる実験系の開発、(3) 発生中の胚において分子局在や細胞内構造を高感度に観察できる蛍光顕微鏡システムの構築、(4) リソソーム関連遺伝子の関与の発見といった成果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸内微生物の研究はここ十年ほどの間に爆発的な進展を見せているが、「動物が胚発生変化を起こすことで腸内微生物に適応する」という本研究で扱う現象は、他の生物種を含めても類似の報告がなく、さらに基盤となる仕組みを詳細に明らかにしていくことで優れたインパクトを持つ研究となると考えている。本研究での成果をもとにして、この現象のメカニズムを分子レベル・細胞レベルでさらに解明することを目指して研究を進めていく。
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