研究課題/領域番号 |
22K20648
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山崎 渉 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 助教 (00966749)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 単為発生 / 卵子成長 / 初期胚発生 / 核移植 / ヒストン修飾 / ZGA / クロマチン構成 / 卵母細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
卵母細胞は成長過程においてゲノミックインプリンティング機構により雌型インプリンティングを獲得する。マウスにおいて、雌型インプリンティングが完了した卵母細胞単為発生胚は胎齢9.5日で胎生致死となるのに対し、雌型インプリンティングがなされていない非成長期卵母細胞単為発生胚は8細胞期で発生が停止する。これは卵母細胞が成長過程で初期胚発生能を獲得すると考えられるが、その時期やメカニズムは明らかではない。本研究では非成長期卵母細胞単為発生胚の発生停止原因を明らかにする。また、成長期卵母細胞単為発生胚が胚盤胞期まで発生する卵母細胞サイズを同定し、雌性ゲノムインプリンティング機構の意義を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度はマウス成長期卵母細胞(growing oocyte: gr)単為発生胚(gr/gr)の初期胚発生能を同定することを目的とし、実験を行った。成長期卵母細胞は、直径10 μmごとに区切り、単為発生胚作製に供した。直径20-30 μmおよび30-40 μmは4-5日齢、直径40-50 μmは9-10日齢の雌マウス卵巣から採取した。 直径40-50 μm gr/grは、活性化48時間後では約90%の胚が4細胞期を超えて発生し、96時間後では約80%が胚盤胞期胚へと発生した。これは、成長が完了した卵母細胞単為発生胚(fg/fg)と同等の発生率であった。直径20-30 μmおよび30-40 μm gr/grは48時間後に、45~50%が2細胞期で発生を停止し、96時間後ではそれぞれ15%、30%が胚盤胞期胚へと発生した。これらの結果から、非成長期卵母細胞単為発生胚(ng/ng)およびgr/grの初期胚発生能は、2細胞期までにその後の発生能が左右されることが示唆された。次の実験では、ng/ng、2細胞期停止が起こる最大の直径の30-40 μm gr/gr、2細胞期停止が解消される40-50 μm gr/gr、コントロールとしてfg/fg単為発生胚のヒストン修飾を検証した。ヒストン修飾は卵子の成長に従ってその修飾が行われ、また、初期胚発生中にその修飾が変化することが明らかとなっている 本実験ではH3K4me3およびH3K9me3を対象とし、1細胞期(前核期)、前期および後期2細胞期において、免疫蛍光染色を行い、相対蛍光強度を算出した。gr/grにおいて、1細胞期におけるH3K4me3およびH3K9me3の蛍光強度は、排卵卵子単為発生胚と比較し、弱く観察されたが、直径の異なるgr/gr間において、差はあまり見られなかった。2細胞期に関しては現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、本年度の研究により、非成長期卵母細胞単為発生胚(ng/ng)および成長期卵母細胞単為発生胚(gr/gr)の初期胚発生能の概要が明らかとなった。これら単為発生胚の初期胚発生停止時期として、2細胞期がポイントとなることが示唆されたため、この原因を胚性遺伝子活性(ZGA)、ヒストン修飾、クロマチン構成の点から検証している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、成長期卵母細胞単為発生胚における初期胚発生能の概要が明らかとなった。また、非成長期卵母細胞単為発生胚(ng/ng)および成長期卵母細胞単為発生胚(gr/gr)の1細胞期におけるヒストン修飾も明らかとなった。今後は、現在取り組んでいる2細胞期におけるヒストン修飾の解析についても進めていく予定であり、成長期卵母細胞単為発生胚の初期胚発生能の違いについて原因を探っていく。 これら研究結果をまとめ、学会発表、論文投稿ができるように努める。
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