研究課題/領域番号 |
22K20653
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
飯島 順子 福島県立医科大学, 保健科学部, 講師 (10559636)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | tau / Alzheimer's disease / O-glycan / O型糖鎖 / タウ / アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)は不可逆的な進行性の認知症疾患であり、脳組織でアミロイドβ(Aβ)が蓄積した後、神経細胞内でリン酸化タウが沈着し細胞毒性を発することで起こる。患者は世界的に増加しているが十分な予防・治療法がなく、ADの分子病態を解明するには新たな取り組みが必要である。 本研究ではタウを修飾するO型糖鎖がADの発症や進行に及ぼす影響を調べる。そのために、ヒトAD病理と類似するADモデルマウスを作製、解析を行う。O型糖鎖修飾によるタウのリン酸化と神経細胞死の制御機構、また、Aβ沈着による神経炎症との関係を解析することでADの遷移機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
タウのO型糖鎖修飾の機能を解析するためには特異的な抗体が必要となるため、O型糖鎖修飾されたタウペプチドを抗原とし抗体を作製した。作製した抗体を付加したアガロースビーズを用いてWtau-Tgマウス脳から免疫沈降を行い、マススペクトル解析を行ったところ、多くのIgGが含まれ、O型糖鎖修飾タウの同定に至らなかった。そこで、還元剤を含まず抗体IgGが漏れこまない条件や、抗体を化学結合でビーズ表面に結合させるなどの条件検討を行っている。また、経時的な解析のため、若齢、高齢マウスを増やし脳サンプルを作製している。O型糖鎖修飾タウの精製条件を確定させたのちは、これらのサンプルを用いて経時的な変化を解析する。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
O型糖鎖はタンパク質のセリンやスレオニンにN-アセチルグルコサミンなどが結合する。その結合部位がリン酸化と同様なため、O型糖鎖はリン酸化の調節に関与すると考えられる。タウでもO型糖鎖修飾によりリン酸化が抑制されること、O-GlcNAc付加酵素を欠損すると神経変性が観察されることが報告された。しかしながらO型糖鎖修飾とリン酸化のスイッチの制御は不明である。タウがリン酸化される時点でADは進行しており、予防・治療のためにはADの早期発見が重要である。ゆえにO型糖鎖に着目した本研究はADの発症機構の新たな知見となり、新規ADマーカーの確立や創薬標的としてADの予防、治療法の開発に貢献すると考える。
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