研究課題/領域番号 |
22K20654
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
野口 雅史 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (50714870)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 幹細胞 / シグナル / 呼吸器 / がん |
研究開始時の研究の概要 |
組織幹細胞は定常状態において未分化性を維持し、組織損傷時に一過的に増殖して、分化細胞を供給する。組織恒常性維持には幹細胞の適切な機能が必要である。本研究では気管幹細胞におけるミトコンドリア形態制御の役割を解明する。ミトコンドリアの形態制御は、細胞内代謝及びシグナルネットワークを制御することが広く知られているが、気管幹細胞においては未解明である。昨年度までの留学時に本申請者は、ミトコンドリア融合因子OPA1が気管幹細胞の増殖、分化を制御することを見出した。本研究では、OPA1の下流のシグナル経路がどのように気管幹細胞の振る舞いを制御するのか、その中核をなす新たな分子機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
ミトコンドリア形態形成因子OPA1がどのように呼吸器幹細胞を制御するか、分子機構解明を目的とし研究を実施した。結果、OPA1欠損によるエピジェネティクス変化や線毛形成構造とミトコンドリアとの位置的相関を見出した。また、ミトコンドリア内膜因子が呼吸器遠位の肺胞形態形成に重要であることを発見、国内、国際学会において成果を発表した(特に、生体機能と創薬シンポジウム2023において優秀発表賞を受賞)。さらに、肺腺がんのEGFR阻害剤耐性へのOPA1の関与を示し論文公表(Cell Death & Disease, 2023)、OPA1の呼吸器上皮における重要性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、組織幹細胞におけるミトコンドリア機能の分子メカニズムを明らかにすることで、ミトコンドリアを標的とした組織幹細胞制御による組織再生促進医療の開発へと波及する可能性を秘めている。本成果で示唆されるミトコンドリア融合因子による呼吸器幹細胞の染色体修飾制御機構は、そのメカニズムの一端を明らかにしたものと考えられ、同作用点に注目した幹細胞制御法の確立に向けて前進したと考えられる。また、ミトコンドリアと線毛形成機構の位置的関与という細胞生物学分野における将来的な学術的新展開に貢献する可能性を示している。
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