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過酷な生育環境に生存する微細藻類の新奇な光酸化ストレス防御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K20657
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
研究機関東京農業大学

研究代表者

豊島 拓樹  東京農業大学, 生命科学部, 助教 (20965529)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード微細藻類 / 光合成 / カロテノイド / アスタキサンチン / 光酸化ストレス / 極限環境
研究開始時の研究の概要

光合成生物は強光照射を伴う環境ストレス下では、活性酸素種の生成を伴う光酸化ストレスが発生し枯死に至る。真夏のアスファルト表面から単離・同定されたイカダモ科の新種微細藻類Ki-4株は、光酸化ストレス下で新規の水溶性カロテノイド結合タンパク質を発現するなど、ユニークな光酸化ストレス防御機構を有していたがその詳細は未知である。そこで本研究では本藻類の新規な光酸化ストレス防御機構の全容解明を目的とする。

研究実績の概要

申請者は通常の光合成生物が生存できない過酷な環境下で生存可能なイカダモ科の微細藻類Coelastrella astaxanthina Ki-4が有する光酸化ストレス防御メカニズムについて研究している。これまでの研究から、本藻類はモデル藻類が光合成活性を失活し枯死する強光が付随する環境ストレスに晒されると、細胞の赤色・肥大化を伴いながら長期間生存する。その過程では、光合成活性の一時的な減少からの回復や真核光合成生物に類例を見ない水溶性アスタキサンチン結合タンパク質を大量に生産するユニークな応答を示すが、その詳細は未知である。そこで本課題では本藻類に特徴的なAstaPの発現機構の解析と光合成回復要因の解明を目的として、(1)光合成活性回復過程でのトランスクリプトーム解析及びastaPプロモーターの調査、(2)光合成活性回復過程でのメタボローム解析、(3)光合成活性の減少と回復の要因としての非光化学的消光の解析に関して研究を進めている。
前年度はメタボローム解析並びに本藻類に特徴的な非光化学的消光(NPQ)の解析を中心に取り組んだ。これら項目に関して比較的良好に研究が進展したが、一部結果に関しては当該年度に得られた結果について現在追試試験を実施しており、再現性が得られた段階で随時評価・報告を行う方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究概要欄に記載した内容について、全体的に順調に進展している。当該年度はこれまでの再現取得を含む極性代謝産物の網羅的解析に注力した。光合成回復過程での特徴的な代謝産物変動について再現性を持った解析結果が得られたため、現在論文報告に向かっている。また、本藻類に特徴的なNPQの誘導条件についての検討が進み、チラコイド膜内腔でのpHの制御が重要であると示唆する結果を得た。

今後の研究の推進方策

本年度は、astaPプロモーターの調査及びC. astaxanthinaが有するNPQのメカニズムの調査を行っていく。特にastaPプロモーターはその高発現性から遺伝子工学的な価値が見出されるため、その誘導因子並びに発現制御機構の解明を目指す。また、C. astaxanthinaが有すると推定されるNPQについては既知のメカニズムとは異なる可能性が示唆されており、他のモデル藻類等との比較解析により、光合成生物の新たな知見の獲得への貢献を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Microalgal AstaP is a natural solubilizer of astaxanthin with broad binding ability for carotenoids and related compounds2023

    • 著者名/発表者名
      Shinji Kawasaki, Tamaki Mitsui, Kohei Omori, Takumi Tsuboya, Adam Bader, Hiroki Toyoshima, Shinichi Takaichi
    • 雑誌名

      Algal Research

      巻: 70 ページ: 102982-102982

    • DOI

      10.1016/j.algal.2023.102982

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 高度な光酸化ストレス耐性を持つ微細藻類のストレス応答性代謝プログラムのオミクス解析2024

    • 著者名/発表者名
      豊島拓樹、三井玲來、石毛太一郎、高市真一、川﨑信治
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 高い光酸化ストレス耐性能を持つ微細藻類の抗酸化酵素系の解析2024

    • 著者名/発表者名
      三井玲來、豊島拓樹、松本健吾、川﨑信治
    • 学会等名
      日本藻類学会第48回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 強光スクリーニングによって単離された微細藻類の系統分類2023

    • 著者名/発表者名
      本松秀夢、豊島拓樹、川﨑信治
    • 学会等名
      日本微生物資源学会第29回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 長期の強光・乾燥ストレスに耐性を示すイカダモ科藻の耐性と回復過程の代謝解析2023

    • 著者名/発表者名
      バデル アーダム, 豊島 拓樹, 高市 真一, 川﨑 信治
    • 学会等名
      日本藻類学会第47回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] イカダモ科藻 Oki-4N が生産する複数の新規水溶性アスタキサンチン結合タンパク質の同定2023

    • 著者名/発表者名
      大森 皓平, 豊島 拓樹, 高市 真一, 川﨑 信治
    • 学会等名
      日本藻類学会第47回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 微細藻類の光酸化ストレス誘導タンパク質の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      坪谷 拓己, 豊島 拓樹, 川﨑 信治
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 過酷な環境で生存する微細藻類で同定された新規抗酸化酵素の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      三井 玲來, 牛奥 佳澄, 小飯田 えり, 豊島 拓樹, 川﨑 信治
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] モンゴルのゴビ砂漠から単離した微細藻類の系統分類2022

    • 著者名/発表者名
      オユン スブドエルデネ, 豊島拓樹, EO Tseren-Ochi, 川﨑信治
    • 学会等名
      日本微生物資源学会第28回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] カロテノイドの科学 ―基礎,研究の新展開,生理活性― 第7章 微細藻類から発見された水溶性のアスタキサンチン結合タンパク質―AstaP2024

    • 著者名/発表者名
      川﨑信治、高市真一、豊島拓樹
    • 総ページ数
      275
    • 出版者
      CMC出版
    • ISBN
      9784781317984
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-09-01   更新日: 2024-12-25  

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