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植物のケイ素利用様式が多様化するメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20661
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
研究機関東北大学

研究代表者

梶野 浩史  東北大学, 生命科学研究科, 特任研究員 (30967790)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード樹木機能形質 / バイオメカニクス / 葉寿命 / 多様性 / トレードオフ
研究開始時の研究の概要

ケイ素は植物のストレスを緩和する有用元素であり、植物体内におけるケイ素の機能は数多く解明されている。それにもかかわらず、ケイ素を能動的に吸収するのは一部の種だけであり、多くの植物は根でケイ素を排除して体内に取り入れないようにしている。本研究は葉の構成材料としてケイ素を用いると葉が硬くなると同時に脆くなるため葉寿命が制限される可能性に着目し、植物のケイ素利用にかかる制約の解明を目指す。

研究実績の概要

本研究の目的は、なぜ陸上植物の葉のケイ素濃度は種間で大きく異なるのかという問いに答えるために、植物のケイ素利用にかかる制約を明らかにすることである。具体的には、葉のケイ素濃度、力学特性、葉寿命を多種間で比較し、「ケイ素濃度の高い葉は硬いが脆い(より小さな変形で壊れる)ため、ケイ素の利用は葉を長期間維持する種には適さない」という仮説を検証する。
2年目である今年度は、1年目に育成した日本国内に自生する樹木20種の実生苗の葉の力学特性を測定した。また、野外に生育する常緑樹と落葉樹の近縁種のペア(例えばブナ科のアラカシとコナラや、バラ科のバクチノキとヤマザクラ)15ペア30種を対象に葉の力学特性を測定した。材料試験機を用いた引張試験によって、葉のヤング率、強度、最大ひずみを測定し、種間で力学特性を比較した。
常緑樹と落葉樹の近縁種のペアの比較の結果、常緑樹の葉は落葉樹よりもヤング率、強度、最大ひずみがすべて高いことが分かった。つまり、常緑樹の葉は落葉樹よりも強度が高いだけでなく、より大きな変形に耐えることが分かった。葉の力学特性に関する先行研究のほとんどは強度に着目したものであるため、葉がどれだけ変形できるか(≒葉のしなやかさ)が葉の長期間の維持に重要であることを示唆する本研究は、葉の力学特性の生態学的意義の理解を大きく深めることが期待される。この成果は第135回日本森林学会で発表し、現在論文投稿の準備を進めている。
申請者の過去の研究で、ケイ素濃度の高い葉はより小さな変形で壊れることがすでに分かっている。よって、本研究の、常緑樹の葉は落葉樹よりも大きな変形に耐えるという結果は、「ケイ素濃度の高い葉は硬いが脆いため、ケイ素の利用は葉を長期間維持する種には適さない」という仮説を支持するものである。今後は常緑樹と落葉樹の葉のケイ素濃度を比較し、仮説をさらに検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度予定していた葉の力学特性の測定は予定通り行うことができた。特に、常緑樹と落葉樹の比較では、近縁種の常緑樹と落葉樹のペア15ペア30種の葉の力学特性を測定することができ、常緑樹と落葉樹の葉の力学特性の違いについて、様々な系統で一般性のあるデータを取ることができたと考えている。

今後の研究の推進方策

今年度度力学測定を行ったサンプルの化学特性を来年度に測定する。また、実生苗については今年度追加播種した種もあるため、追加播種された種の力学特性、化学特性の分析を来年度行う。また、葉の力学特性が光環境に応じてどのように種内変異するかも検証する必要があると判断したため、来年度検証する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 常緑樹の葉は落葉樹よりも強度が高いだけでなくより大きな変形に耐える2024

    • 著者名/発表者名
      梶野浩史、小野田雄介、彦坂幸毅
    • 学会等名
      第135回日本森林学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-09-01   更新日: 2024-12-25  

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