研究課題/領域番号 |
22K20662
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小口 晃平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (50966249)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | クダクラゲ / 群体形成 / 個虫分化 / 幹細胞 / 発生調節遺伝子 / ヨウラククラゲ / 群体発生 / ツールキット遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
刺胞動物ヒドロ虫綱クダクラゲ目では、形態と機能が分化した個虫が適材適所に配置されることで、ひとつの個体のように振舞う「群体」が作られる。群体全体が個体のように振る舞うためには個虫を適所に配置する仕組みは必須となるが、その仕組みは未だ謎に包まれている。これまでの解析により、クダクラゲの個虫出芽領域では、発生ツールキット遺伝子が特異的に発現することを見出している。そこで本研究では、これらの発生ツールキット遺伝子の詳細な発現局在を調べるとともに、遺伝子機能解析を試み、個虫が出芽する位置や個虫の形態への影響を評価することによって、クダクラゲの群体における「適材適所を実現する仕組み」の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
刺胞動物ヒドロ虫綱クダクラゲ目においては、形態と機能が特殊化した個体(個虫)が適材適所に配置されることで、ひとつの個体のように振舞う「群体」が構築される。役割が異なる個虫を適所に配置することで、群体が全体として個体のように振る舞うことが可能になると考えられるが、個虫を適所に配置する仕組みは未だ謎に包まれている。これまでの申請者の解析により、クダクラゲの個虫出芽領域では、後生動物の発生過程で体の領域や器官形成に関わるHox遺伝子などの発生調節遺伝子が特異的に発現することを見出した。そこで本研究では、これらの発生調節遺伝子の詳細な発現局在を調べるとともに、遺伝子機能解析を試み、個虫が出芽する位置や個虫の形態への影響を評価することによって、クダクラゲの群体における「適材適所を実現する仕組み」の解明を目指す。 2023年度は主な研究材料種であるヨウラククラゲを採集し、in situ hybridizationによる遺伝子発現局在の解析および遺伝子機能解析手法の確立を試みた。その結果、幹細胞マーカー遺伝子など複数の遺伝子の詳細な発現局在が明らかとなった。特に出芽領域で発現している発生調節遺伝子を発見しており、今後幹細胞との局在を詳細に調べていく予定である。また、遺伝子機能解析手法の確立を目指し、マイクロインジェクション法の検討を試み遺伝子発現の低下を導く手法を確立できた。今後、確立できた手法を用い候補遺伝子の機能について解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、主な研究材料種であるヨウラククラゲの採集とin situ hybridizationによる遺伝子発現局在の解析および遺伝子機能解析手法の確立を試みた。、in situ hybridization法による遺伝子発現局在の解析結果、幹細胞マーカー遺伝子がヨウラククラゲの群体内部において生殖個虫で強い発現局在が見られた他、2つの個虫の出芽領域(泳鐘出芽帯と栄養部出芽帯)においても発現してていることがわかった。泳鐘出芽帯と栄養部出芽帯のいずれかの出芽帯特異的に発現している発生調節遺伝子を複数同定した。さらに、本種を含めクダクラゲ類は飼育維持が難しいため、遺伝子機能解析法が適応された例は皆無であった。まずは実験系の確立のため、ヨウラククラゲの各部位にマイクロインジェクションを試みた。その結果、幹へのインジェクションによってマーカーとして用いたDyeが群体全体に拡散することを見出した。また発現量の高い一部の遺伝子に対するdsRNAを合成しマイクロインジェクションを試み、1日後の遺伝子発現をreal-time qPCRで解析した結果、発現量の低下が見られた。そのため当初の研究計画通りに、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現局在の解析については、2023年度に確立した方法を基に発生調節遺伝子群の発現局在を詳細に明らかにする。また、幹細胞マーカー遺伝子など他の遺伝子群との共局在など発現部位の相関について明らかにする。2023年度の解析において一部の発現量の低い転写因子等の発現局在の検出が困難であることも明らかとなった。そこで本年度はシグナルの検出力の高い蛍光in situ hybiridzationやin situ Hybridization chain reaction (HCR) 法を用いることを計画している。また、遺伝子機能解析手法に関しては、2023年度に活用可能であることが明らかとなったRNAiをメインに候補遺伝子の機能解析を行う。また並行して各種シグナル伝達経路の阻害剤等も用い、群体形成や幹細胞局在への変化を調べる。
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