研究課題/領域番号 |
22K20663
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
宮田 真衣 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (70946681)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ボルバキア / イラクサギンウワバ / 細胞質不和合 / 生殖操作 / 生物間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫と細菌間には様々な相互作用が存在することが明らかになっている。昆虫に最も広く感染する細菌であるボルバキアは、自身の感染を広げるために宿主昆虫の生殖を操作することで有名である。その一方で、感染による宿主への影響や、そのメカニズムについては依然として不明な点が多く残されている。チョウ目ヤガ科の昆虫であるイラクサギンウワバにおいて、抗生物質処理によるボルバキアの除去により、生存率が大幅に減少することを確認した。本研究では、イラクサギンウワバに感染するボルバキアには宿主にとって重要な役割を担うと仮定し、ボルバキア除去による死亡のメカニズムを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
昆虫に感染する細胞内共生細菌ボルバキアは、宿主の生殖を操作することで知られている。その一方で、生殖操作以外の宿主へ及ぼす影響や、そのメカニズムについては不明な点が多い。チョウ目ヤガ科の昆虫であるイラクサギンウワバ(以下、イラクサ)において、抗生物質処理によるボルバキアの除去により、生存率が大幅に減少する現象を確認した。本研究は、イラクサに感染するボルバキアが宿主の脱皮や変態に影響を及ぼしていると仮定し、ボルバキア除去による死亡のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 イラクサの生存に影響を及ぼすボルバキアは、現在関東地方のイラクサでのみ感染が広がっている系統である。そのため、本研究を進めるにあたり、最初に福井県において供試虫であるイラクサのボルバキアについて調査を行った。福井県産イラクサについて、ボルバキアのgatB領域の一部の塩基配列を決定した結果、現在関東地方で感染が広がっている系統と同じ系統に感染していることが明らかとなった。そこで実験の準備として、テトラサイクリン処理によってボルバキアを除去したイラクサの作出を行った。福井県産イラクサについて交配実験を行った結果、関東のイラクサ同様に細胞質不和合を引き起こすことが明らかとなった。これらの結果から、関東地方で感染を広げている系統は、他の地域においても感染を広げている可能性が考えられた。 今後は、昨年度に用意できたサンプルを用いてボルバキアの感染の有無がイラクサ体内でのエクジソン濃度に影響を与えるか、またイラクサのボルバキアの体内での局在について調査することで、ボルバキア除去によるイラクサの死亡メカニズムについて調査を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福井県産イラクサには、関東のイラクサに感染するボルバキアと同じ系統が感染していることが確認できたため、実験の準備としてボルバキアを除去したイラクサを作出した。今年度は、これらのイラクサのサンプルを用いて研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の福井県産イラクサの飼育を進めながら並行して、免疫染色によるイラクサギンウワバ体内のボルバキアの局在の調査と、イラクサ体内でのエクジソン濃度の測定について予備実験を進めている。今年度は、昨年度に準備したサンプルを用いてこれらの実験を進める予定である。
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