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魚類の射精量の新規定量法の開発と繁殖戦略の異なる雄の精子配分戦略の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20666
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
研究機関大阪公立大学

研究代表者

近藤 湧生  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (10965099)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード性淘汰 / 精子競争 / 代替繁殖戦術 / 精子配分 / 精子配分戦略 / メダカ / 代替繁殖戦略
研究開始時の研究の概要

雄が状況に応じて1回の配偶あたりの射精量を調節する戦略は「精子配分戦略」と呼ばれ、体内受精種で主に研究されてきたが、理論モデルと実証研究の不一致が多く、詳細は不明である。各雄の精子の定量が「精子配分戦略」の理解に極めて重要であるにも関わらず、体外受精種の複数の雄が参加した配偶における各雄の射精量は不明である。本研究では、複数の雄が参加した配偶における各雄の射精量を定量化する新規手法の開発と繁殖戦略の異なる雄の精子配分戦略を解明することを目的とする。これにより、「有限な精子」という制約が性淘汰に与える影響の重要性や一般性について、これまでにない新たな知見を提供できると期待される。

研究実績の概要

雄が状況に応じて1回の配偶あたりの射精量を調節する戦略は「精子配分戦略」と呼ばれ、体内受精種で主に研究されてきた。しかし、理論モデルと実証研究の間に不一致が多く、詳細はまだ解明されていない。各雄の精子量が「精子配分戦略」の理解に非常に重要であるにもかかわらず、既存の技術では測定が難しかったため、体外受精種で複数の雄が関わる配偶における各雄の射精量は未だに不明である。本研究では、複数の雄が関わる配偶における各雄の射精量を定量化する新たな手法を開発し、繁殖戦略が異なる雄の精子配分戦略を解明することを目指す。
昨年度は、GFP(緑色蛍光タンパク質)を性細胞に導入したメダカの雄と通常の雄を雌と交配させ、水中で混合した各雄の精子を識別する方法を検討した。しかし、GFPが性細胞に導入されたメダカでは、体外に放出された精子1つ1つが蛍光顕微鏡で観察できなかったため、当初予定していた環境DNA技術を応用し、水中で混合した各雄の射精量を定量化する方法を試みた。
今年度は、環境DNA技術を応用するため、これまでの成果を学会などで発表し、文献調査や環境DNAの専門家と手法確立のためのプロトコルを相談した。現在、同じ集団内の個体を使って実験を実施する予定である。しかし、環境DNA技術で2個体の雄の精子を識別することが困難であることも予想される。その場合、先行研究で参考とされる、ミナミメダカとキタノメダカの異なる異性の交配による配偶子の環境中のDNA量の増加を定量した研究を参考に、近縁の個体群やミナミメダカとキタノメダカを使った水槽実験も検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

繁殖戦略の異なるペア雄とスニーカー雄では、状況に応じて射精量が異なることが予想され、個体ごとの放精数の定量は精子配分戦略の理解には必須である。しかし、体外受精種で個体ごとの放精数を計数した例はない。そこで、複数雄を配偶させ、水槽内に放出された各雄の射精量を定量的に評価する新規手法の開発を模索した。
今年度は、環境DNA技術を応用するため、これまでの成果を学会などで発表し、文献調査や環境DNAの専門家と手法確立のためのプロトコルを相談した。現在、同じ集団内の個体を使って実験を実施する予定である。しかし、環境DNA技術で2個体の雄の精子を識別することが困難であることも予想される。その場合、先行研究で参考とされる、ミナミメダカとキタノメダカの異なる異性の交配による配偶子の環境中のDNA量の増加を定量した研究を参考に、近縁の個体群やミナミメダカとキタノメダカを使った水槽実験も検討する。

今後の研究の推進方策

水中の環境DNAからメダカ属の近縁2種(ミナミメダカとキタノメダカ)を識別する手法や、水中の精子DNAの増加量を定量する研究が報告されている。この技術を応用する。まず、水中で混合した精子がどの雄のものかを識別するため、個体特異的な配列(マイクロサテライトやSNP)から個体識別が可能なプライマーを作成する。そのプライマーを用いて定量PCRを実施し、水中の環境DNAから各雄の射精量を推定する。この手法は、水中の精子の個体識別が可能な遺伝子領域を利用するため、モデル生物以外にも応用が可能である。さらに、この手法は雌の体内で混合した各雄の精子も識別・定量できるため、体外受精を行う魚類だけでなく、体内受精種を含む動物全般の精子配分戦略の研究手法の確立につながる。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Sperm allocation in relation to male-male aggression and courtship in an externally fertilising fish, the medaka2023

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y., Kohda M., Koya Y., Awata S.
    • 雑誌名

      Animal behaviour

      巻: -

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 野生ミナミメダカの野外観察手法の確立 野生メダカはどんな生活をしている?2024

    • 著者名/発表者名
      近藤湧生, 岡本 鼓都里, 幸田正典, 古屋康則, 安房田 智司
    • 学会等名
      第34回魚類生態研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 野外のミナミメダカは何時から繁殖行動を開始するのか?2024

    • 著者名/発表者名
      岡本鼓都里, 近藤湧生, 幸田正典, 古屋康則, 安房田智司
    • 学会等名
      第34回魚類生態研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Male medakas mate with females despite sperm depletion2023

    • 著者名/発表者名
      Kondo Yuki, Kohda Masanori, Awata Satoshi
    • 学会等名
      Indo-Pacific Fish Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ミナミメダカの雄は1日19回配偶できるが, 精子枯渇と受精率の低下が起こる2023

    • 著者名/発表者名
      近藤湧生, 幸田正典, 安房田智司
    • 学会等名
      2023年度 日本魚類学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Sperm allocation in relation to male;male aggression and courtship in an externally fertilizing fish, the medaka (Oryzias latipes)2023

    • 著者名/発表者名
      Kondo Yuki, Kohda Masanori, Koya Yasunori Awata Satoshi
    • 学会等名
      The 10th East Asian Federation of Ecological Societies International Congress
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ミナミメダカもしていた!? 「有限な精子」をめぐるオスの精子配分2023

    • 著者名/発表者名
      近藤湧生
    • 学会等名
      ひみラボ自然史研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ミナミメダカの雌は雄の配偶行動を誘起するフェロモンを放出しているのか?2022

    • 著者名/発表者名
      近藤 湧生, 児玉 恵弥, 安房田 智司, 古屋 康則
    • 学会等名
      日本魚類学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 大阪公立大学動物社会学研究室

    • URL

      https://www.omu.ac.jp/sci/biol-asoci/index.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-09-01   更新日: 2024-12-25  

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