研究課題/領域番号 |
22K20670
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
青木 大輔 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (80963818)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 渡り鳥 / 生物地理学 / 集団ゲノミクス / 歴史的偶然性 / 適応進化 / バイオロギング / 自然選択 / 鳥類の渡り |
研究開始時の研究の概要 |
鳥類が種ごとに渡り経路を多様化させた進化的プロセスは未解明である。本研究は、渡り経路が種の祖先の生息地を通るように制約されている可能性、「歴史的偶然性」を考慮し、この課題を解決することを目的とする。祖先の生息地は、種分布モデルに、全ゲノム解読による過去の集団サイズの推定を組み合わせて復元する。復元した祖先の生息地に制約された渡り経路をシミュレーションで予測し、実際の渡り鳥の渡り経路を再現できたかどうかを評価する。これにより、歴史的偶然性が渡り経路の多様化に果たした役割を明らかにする。
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研究成果の概要 |
渡り鳥は数千キロにも及ぶ長距離を毎年往復している。この渡り経路は種ごとに多様であるが、その進化的背景は未解明である。本研究は、日本の鳥類の渡り経路の種間差が種ごとの進化の歴史によって生じた可能性(歴史的偶然性)の検証を目的とした。渡り経路の解析と系統地理学を統合することでこの達成を目指した。まず、複数の渡り鳥において、集団遺伝学と種分布モデルを統合し、日本に移住してきた大陸上の祖先の地を復元した。次に、実際の渡り経路が祖先の地に制約されているかどうかをシミュレーションによって検討した。その結果、ノビタキ・アカモズの渡り経路の種間差は歴史的偶然性によって生じた可能性が推察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
渡り鳥は、何千キロもの往復移動を安全に移動するために、種ごとに特有の渡り経路を進化させてきた。近年の人為的な環境変動によって、渡り経路の環境は劣化している。渡り鳥は渡り経路を変更することで生存を迫られているが、多くの渡り鳥は荒廃した環境を今もなお利用している。先行研究は渡り経路が柔軟に環境に適応すると考えてきたが、多くの渡り鳥が渡り経路を変更できていない理由を説明できなかった。本研究成果は、渡り経路が種ごとの歴史に制約されることで種特有の経路が進化した可能性を示唆した。多くの渡り鳥は急な環境変動に適応する柔軟性を失っている可能性があり、渡り鳥の進化理論の再考の必要性を迫る。
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