研究課題/領域番号 |
22K20704
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 一貴 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (50955127)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 天然物化学 / 創薬化学 / ライブラリー合成 / 抗菌薬 / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性菌が世界的に猛威を振るっており、これらに有効な抗菌薬が少ないことから、新規抗菌薬の開発が急務である。細菌細胞壁の主成分であるペプチドグリカンはヒト細胞は有していないため、その生合成は有望な創薬ターゲットであり、その中でも酵素MraYに着目している。MraYを阻害する天然物は、薬剤耐性菌にも効果を示すため、有望な抗菌薬リード候補である。しかし、その構造の複雑さから誘導体合成に多大な労力を有し、開発が進んでいないのが現状である。そこで、本研究では、天然物誘導体の合成を簡略化するヒドラゾン連結型ライブラリー合成法を確立し、強力な抗菌活性を有する誘導体の取得し、抗菌薬開発に貢献する。
|
研究実績の概要 |
研究目的:薬剤耐性菌が世界中に蔓延しており、薬剤耐性菌感染症治療薬の開発が急務である。ペプチドグリカン生合成酵素の一つであるMraYは、細菌に普遍的に存在しており、かつその欠損は細菌にとって致死的である。また、MraYは既存の抗菌薬の標的とは異なるため、MraYを阻害するMraY阻害剤は、薬剤耐性菌にも効果のある新規抗薬剤耐性菌薬として期待されている。MraY阻害剤として、ヌクレオシド系天然物が知られている。これらの天然物は新規抗薬剤耐性菌薬として有望である一方で、構造が複雑であることから、創薬化学研究を展開するうえで、誘導体合成が煩雑である点が問題となっていた。本研究では、誘導体合成を効率化するため、定量的かつ化学選択的に反応するヒドラゾン形成反応を用い、アッセイプレート上で誘導体ライブラリーを調製し、そのまま生物活性を評価することとした。ここで得られた高活性誘導体は、さらなる化学変換を行い、高次の生物活性評価に供するものとした。 研究結果:2022年度は、本研究開始前までにライブラリー合成を実施済みであったMraY阻害天然物ムライマイシンとツニカマイシンに加えて、ムレイドマイシンとカプラマイシンに本法を適用し、ライブラリー合成と評価を実施した。その結果、天然物と同等あるいは、抗菌スペクトルの異なる誘導体がいくつか得られた。これらに関しては、さらなる化学変換を実施する。また、ヒドラゾン形成反応に使用するヒドラジンフラグメントの拡充も実施した。具体的には、今まではモノアミノ酸ヒドラジンだったところを、アミノ酸2種からなるジペプチド型へと拡充を図った。また、細胞毒性を誘起する懸念のあった長鎖アルキル基の使用を避け、芳香環を有するアシルアミノ酸ヒドラジンも同時に導入した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた新規天然物でのコア合成と誘導体ライブラリーの合成ならびに生物活性評価まで実施し、高活性誘導体を得ることができた。また、ライブラリー合成に使用するヒドラジンフラグメントの拡充も実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ライブラリー評価の結果得られた誘導体のさらなる化学変換を実施し、薬剤耐性菌にも効果のある新規抗菌薬リードの創製を目指す。 また、これまでのヒドラジンフラグメントは、長鎖アルキル基を有するアミノ酸ヒドラジンに偏っていたことから、構造多様性を持たせるべく、ジペプチドの使用やアシル基の変更を実施した。一方で、アミノ酸を有さないヒドラジンユニットはいまだその数が限られ、構造も限定的である。そこで、より多様な相互作用が可能となるように置換基を増加させた多置換芳香族ヒドラジンなどの導入を検討していく。
|