研究課題
研究活動スタート支援
胸腺は免疫応答に重要なT細胞の分化を制御する臓器である。胸腺上皮細胞は細胞内の自己タンパク質を分解し、抗原ペプチドとしてT細胞に提示する。T細胞が自己ペプチドを認識した場合、自己反応性T細胞となり排除される。この機構により自己免疫疾患の発症が未然に防がれている。胸腺上皮細胞はタンパク質を分解する機構としてオートファジーを利用している。オートファジーは栄養飢餓に応答してタンパク質をリソソームによって分解する現象であるが、胸腺上皮細胞のオートファジーは栄養飢餓と関係なく恒常的に活性化しておりその分子機構は不明のままである。そこで、申請者はオートファジー誘導因子をを同定し、その誘導機構を解明する。
胸腺上皮細胞は恒常的にオートファジー(胸腺オートファジー)を活性化させることによりT細胞に自己抗原を提示する。自己抗原を認識したT細胞は排除されることにより、未然に自己免疫疾患を防いでいる。我々は胸腺オートファジーを誘導する新規因子C15ORF48を発見した。C15ORF48はミトコンドリア膜電位や細胞内ATP量を低下させ、AMPK-ULK1経路の活性化を介してオートファジーを誘導することがわかった。C15ORF48欠損マウスの胸腺オートファジー活性は低下していることがわかった。また、C15ORF48欠損マウスはT細胞に自己抗原を提示できなくなり、結果として自己免疫を発症することがわかった。
胸腺上皮細胞では恒常的なオートファジーの誘導が報告されているが、オートファジーは飢餓応答時に誘導されると広く認識されており、飢餓非依存的なオートファジー誘導機構はあまりよくわかっていない。我々はC15ORF48を飢餓非依存的オートファジー誘導因子として同定しており、本研究成果は免疫システムのみならずオートファジーの基礎研究においても学術的に重要な知見を与え得るものと考えている。
すべて 2024 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Nature Communications
巻: 15 号: 1 ページ: 953-953
10.1038/s41467-024-45206-1
Genes to Cells
巻: 28 号: 12 ページ: 929-941
10.1111/gtc.13079
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 669 ページ: 30-37
10.1016/j.bbrc.2023.05.073
J. Cell. Biochem.
巻: - 号: 6 ページ: 1064-1076
10.1002/jcb.30251
eLife
巻: 11 ページ: 73998-73998
10.7554/elife.73998
J. Cell. Mol. Med.
巻: - 号: 9 ページ: 2686-2697
10.1111/jcmm.17279
https://www.p.chiba-u.jp/lab/mcp/pdf/20240208_1.pdf
https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/20220425_VGLL3.html