研究実績の概要 |
サリドマイド依存的な催奇形性の要因であるユビキチン-プロテアソーム系によるSALL4およびPLZFの分解機構を妨げるサリドマイド骨格の誘導体の開発を目指している. 近年、開発が著しい標的タンパク質分解誘導剤(PROTACs)にはサリドマイド骨格が含まれており, サリドマイド骨格依存的な催奇形性は回避することが求められている. 各生細胞では発現が困難であるSALL4, PLZFおよびサリドマイドの受容体のCRBNをコムギ胚芽無細胞合成系で合成し, 精製をしてクライオ電子顕微鏡で測定をした. サリドマイドおよび誘導体を介したCRBNと各基質の複合体の形成条件を検討した結果, サリドマイドおよび誘導体と各基質の組み合わせによって, 親和性と安定性による複合体の形成の傾向が報告例と類似していることを確認した. 複合体の安定性を高めるために結合領域を量子化学計算を含んで評価することで, タンパク質の構造以外にも複合体形成に関与する部位を特定できる可能性があることを検討した。 本研究により、膜タンパク質等の発現困難なタンパク質をコムギ胚芽無細胞合成系を利用してクライオ電子顕微鏡での測定に必要なコムギ胚芽の量等を提示することで効率的に構造解析が実施できる手法になることが期待される. サリドマイド誘導体であるレナリドマイドの修飾体とCRBN-SALL4およびCRBN-ネオ基質の複合体へのドッキングシミュレーションを実施して, サリドマイドの結合領域周辺における修飾基による影響をネオ基質の分解および親和性と共に評価を行い, 催奇形性を回避するサリドマイド骨格の誘導体の候補を比較・検討した.
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