研究課題/領域番号 |
22K20717
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
城森 啓宏 琉球大学, 理学部, 助教 (60964898)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海綿動物 / 生合成遺伝子 / 水平伝播 / ペプチド天然物 / メンブレンベシクル / 共生微生物 / Entotehonella / Latrunculin / 生合成 / 天然物 / 遺伝子水平伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋生物である海綿からは稀少かつユニークな構造を有する生理活性物質が単離されている。近年、海綿メタゲノミクスによりその真の生産者は、海綿に共生する微生物であることが明らかになってきた。さらに、生理活性物質の生合成遺伝子の詳細な解析によると、生合成遺伝子クラスターは水平伝播により微生物間で授受されていることが示唆されている。本研究課題では、海綿における微生物間の遺伝子水平伝播を活用した天然物の生合成遺伝子クラスターの探索および機能解析を目指す。医薬品として有望な化合物の生合成研究は、量的供給法の確立や新たな生体触媒のレパートリー拡充へと繋がる。
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研究実績の概要 |
本課題では、水平伝播を起点とした海洋天然物の設計図である生合成遺伝子クラスターの取得を目指した。初めにモデル実験として、水平伝播に関与していることが示唆されているメンブレンベシクル(MV)に、海綿Theonella swinhoei由来天然物misakinolideの既知生合成遺伝子クラスターが含まれているか確認した。Misakinolide生合成遺伝子を特異的に検出するプライマーを設計しPCR実験を行った結果、遺伝子の増幅を確認できたことからMVにmisakinolide生合成遺伝子が含まれていることが示唆された。次に遺伝子情報を濃縮するために、与那国産の海綿T. cupolaの破砕細胞液からMVを遠心分画し、得られたMV画分から長鎖メタゲノムDNAの取得に成功した。得られたDNAをロングリードシーケンサー(Nanopore)およびショートリードシーケンサー(DNBSeq)に供し、合計12Gbデータ量を取得した。その後、ポリッシング、ハイブリッドアセンブリを実施し、生合成遺伝子クラスター検出ソフトであるAnti-SMASHに供したところ、海綿T. cupolaのメタゲノムDNAより70 kbを超える非リボソームペプチド-ポリケチドのハイブリット型生合成遺伝子クラスター(NRPS-PKS)の取得に成功した。それらドメイン構成をもとに、生合成産物を推定すると抗真菌剤microsclerodermin C/Dであることが示唆された。microsclerodermin Cは、Trp残基のイミダゾールの窒素にカルバモイル基を含むことで抗真菌活性が20倍以上上昇することが知られている。今後、本課題で見出したカルバモイル転移推定酵素の機能解析を行うとともに、水平伝播を軸とした海綿からのさらなる生合成遺伝子クラスターの取得方法の確立を目指す。
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