研究課題/領域番号 |
22K20719
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
池田 真由美 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (90965708)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 血清アルブミン / DDS / ドラッグデリバリー / 中空ナノ粒子 / 悪性腫瘍 / 一酸化窒素 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト血清に最も豊富に含まれるタンパク質であるヒト血清アルブミン(HSA)を用いて中空構造のナノ粒子を合成し、がん特異的に薬剤を送達するシステムの開発を目指す。ナノ粒子には生体内にも存在する抗がん活性物質である一酸化窒素および硫化水素を修飾する。担がんモデルマウスを用いて、抗腫瘍活性や安全性の評価を行う。また、内皮細胞へのトランスサイトーシスやがん細胞へのエンドサイトーシスによる取り込みをin vitroで評価する。
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研究実績の概要 |
本研究は、免疫原性が低く、かつ腫瘍選択性の高い抗がん剤を開発することを目的とする。ヒト血清アルブミン(HSA)はその受容体を介して腫瘍へ積極的に取り込まれることが知られている一方、循環血中に最も豊富に含まれるタンパク質でもあり、薬剤のキャリアとしてただHSAを用いるだけでは高い腫瘍選択性は期待できない。腫瘍組織は、粗悪な血管新生により血管壁に間隙があり、数十から数百nmのナノサイズ粒子が集積し易い性質を有している。そこで、HSAをナノ粒子化することにより腫瘍へ送達させる試みが行われているものの、堅固な粒子であることに起因する受容体親和性の低下や抗原性の上昇が課題である。そこで本研究では、構造柔軟性の高い中空HSAナノ粒子を作製することで、免疫細胞を回避しつつ腫瘍組織への親和性を高めた抗がん剤キャリアを開発する。同粒子には多様なメカニズムで抗腫瘍活性を示すガス分子である一酸化窒素 (NO)や硫化水素 (H2S)を付加する。これにより、これらガス分子が全身へ作用することで生じる副作用を抑え、かつその抗腫瘍活性を高めた抗がん剤として開発する。NOやH2Sは細胞障害性を有するだけでなく、腫瘍微小環境を改善することや抗がん剤の耐性を克服することが報告されており、これらをがん治療へ応用することは利点が多い。本技術を中空HSAナノ粒子へと応用することでNOやH2Sを腫瘍選択的に送達することが出来れば、将来的には従来の抗がん剤とメカニズムの異なる新規抗がん剤として患者の選択肢を増やすことに繋がり、大きな社会的メリットが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた手法では粒子が中空にならなかったため、別の手法によってヒト血清アルブミンを用いた中空ナノ粒子の合成に成功した。さらに、今後のin vitroや in vivoの実験に必要な蛍光修飾をすることができた。また、がん細胞を培養してマウスに移植し、担がんが可能であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
調製したナノ粒子を用いて、細胞内取り込みや生体内分布評価を行う予定である。具体的には以下の通りである。 (I)調製したナノ粒子を蛍光標識し、マクロファージやがん細胞への取り込みを蛍光顕微鏡やフローサイトメトリーなどで評価する。がん細胞は、マウスメラノーマ細胞B16やマウス乳がん細胞4T1、ヒト膵臓がんSUIT2など、異なるHSA受容体を有するものを数種類使用する。また、血管内皮細胞においてトランズウェルを使用し、トランスサイトーシスされたHSAナノ粒子を定量する。以上の評価を非中空HSAナノ粒子と比較して行う。また、HSA受容体の中和抗体が与える中空HSAナノ粒子の取り込みへの影響も評価する。 (II)貪食細胞による認識が低く、かつがん細胞および血管内皮細胞における取り込みが顕著であったナノ粒子を数種類選び、のがん細胞を皮下移植した担がんマウスに投与する。組織や血液の蛍光を測定することにより、粒子の臓器分布や血中滞留性を評価する。 (III)HSAナノ粒子にNOやH2Sを付加し、抗腫瘍活性を評価する。経日的に腫瘍体積および体重を測定し、生存率を評価する。また、腫瘍重量の測定や腫瘍切片の組織学的評価を行うことで、抗腫瘍活性や安全性を評価する。
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