研究課題/領域番号 |
22K20727
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
大谷 拓也 関西医科大学, 附属光免疫医学研究所, 助教 (60967355)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 光免疫療法 / EGFレセプター / 環状ペプチド / 抗がん剤 / 創薬研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新たながん治療法として注目されている光免疫療法に用いる新規薬剤の開発を行うものである。現在上市ならびに研究開発されている薬剤のほとんどは、がん細胞に光感受性色素を運ぶ標的指向性分子として抗体が用いられているが、新たな抗体の開発は容易ではなく、また薬剤コストが大きいことが問題である。そこで本研究では、抗体よりも容易に作製・改変が可能かつ安価であるペプチドを標的指向性分子として用いた次世代の光免疫療法薬の開発を行うことを計画した。
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研究実績の概要 |
2022年度は、まず研究実施計画に沿って、上皮成長因子受容体(EGFR)に親和性を有する環状ペプチドの合成および光感受性色素(IR700)との結合を行った。環状ペプチドは既報の方法により合成を行い、続くIR700との結合は一般的な塩基性条件下での反応により問題なく進行した。続いて、蛍光顕微鏡を用いて得られたIR700結合ペプチドのEGFR陽性がん細胞株であるA431細胞に対する結合確認実験を行った。その結果、化合物処理後の細胞においてIR700由来の蛍光は確認されなかった。この結果から本ペプチドでは結合親和性が低いことが示唆された。そこで当初の計画通りにペプチドを多価とすることを試みた。ここで、蛍光プローブに関して細胞への結合のみを確認する目的でIR700より安価で蛍光が観察しやすいフルオレセインを用いることとした。まず、先ほど用いたペプチドを2価とした化合物を合成し、フルオレセインとの結合を行った。また比較用として1価ペプチドに対してもフルオレセインの結合を行った。これら2種類の化合物の結合を先と同様に評価したところ、2価ペプチドにおいてより強い蛍光が確認されたため、光免疫療法用の薬剤になりうる可能性が高いと考えた。そこで、2価ペプチド-IR700結合体を別途合成し、A431細胞に対して薬剤を結合させた後光照射実験を行い、その治療効果を確認することとした。しかし、光免疫療法様の細胞の形態変化は観察されなかった。この結果から2価ペプチドにおいても、光免疫療法を行うには十分な結合親和性を有していない可能性が考えられた。そこで現在、親和性向上のための4価および8価ペプチドの合成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、1価および2価ペプチドとIR700の結合体の合成およびがん細胞株での結合確認、治療実験を行った。その結果、ペプチド性薬剤では抗体を用いた治療薬と比較すると効果は小さいことが明らかになった。また、細胞への結合確認を行うため、IR700をフルオレセインに置換した化合物の合成および評価も行った。その結果、フルオレセイン結合体ではIR700結合体と比較して蛍光観察が行いやすく、また1価ペプチドと比較して2価ペプチドのほうがより細胞に結合していることを明らかにした。これらの結果より、治療効果は小さかったもののペプチドを用いた新規光免疫療法薬の合成および評価の一部は完了し、今後の薬剤開発の方向性が明らかとなったため、進捗状況をおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の結果より1価および2価ペプチドでは治療効果が乏しいことが明らかとなった。この原因は2つあると考えており、2023年度はそれらの改善を試みる。 1つ目の原因として考えられるのは、細胞に対する結合親和性の低さである。現在上市されている光免疫療法薬は抗体を用いてがん細胞に結合させている。ペプチドは抗体と比較して安価に製造できる一方、化合物の構造が小さくなった分、標的との相互作用部位が減少し結合親和性が低下している。そのため、より多くのペプチドを有する化合物を合成する。すなわち、リンカー部にリジンを用いて分枝を形成し、4価および8価ペプチドを合成する。この多価効果によって親和性を向上させた薬剤を創出する。 2つ目の原因として考えられるのは、化合物1分子中のIR700の数である。抗体を用いた薬剤では抗体1分子あたり約3分子のIR700を結合させている。現在のところ本研究で用いている化合物は1分子に対して、IR700を1分子しか結合させていない。この違いが光照射後の膜に与えるストレスの大きさに起因しているのではないかと考えた。そこで、現在までに合成している2価ペプチドおよび新たに合成する4価、8価ペプチドのリンカー部にIR700の結合点を3つ用意し、薬剤1分子あたり3分子のIR700を結合させる。 これら2つの改善策を試み、細胞で一定の効果が得られれば、担がんマウスを用いたin vivo治療実験を行う予定である。
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