研究課題/領域番号 |
22K20732
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
青沼 和宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 産総研特別研究員 (30965554)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イソラムネチン / 心房細動 |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動は臨床上最も一般的な不整脈で、高齢化に伴い有病率は増加すると予想されるが、現在の抗不整脈薬の心房細動に対する効果は限定的かつ、重篤な副作用発現等の問題を抱えており、新規ターゲット分子の解明および新規治療薬の開発が急務となっている。 天然化合物であるイソラムネチンにおいて、最近申請者は心室における抗線維化、抗炎症作用とその作用機序を見出した。 本研究では、イソラムネチンの心房の構造的・電気的リモデリングに対する有効性、作用機序の解明を目的とする。同時に心房細動における化合物を用いた治療効果を検討する評価系の構築、フラボノイドの普遍的な作用機序の解明、新たなターゲット分子の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
野生型マウス(♂、8週齢)を(1)コントロール群、(2)アンギオテンシンII投与群、(3)アンギオテンシンII+イソラムネチン投与群の3群にランダムに振り分けた。アンギオテンシンII投与群、アンギオテンシンII+イソラムネチン投与群は、アンギオテンシンII(1000ng/kg/分)を2週間投与し、アンギオテンシンII+イソラムネチン投与群は、アンギオテンシンII投与開始1週間前にイソラムネチン(5mg/kg)を計3週間腹腔内投与した。その後、心臓組織を採取し、ウエスタンブロット法、RT-PCRを用いて分子経路探索、遺伝子発現の調査を行った。 心房細動の発生機序は少なくとも、電気生理学的特性の変化などによる電気的リモデリングと、炎症、線維化などによる構造的リモデリングの2つからなることが知られている。 電気的リモデリングにおいて、リン酸化酵素CaMKIIの酸化またはリン酸化によって誘発される、Ca2+放出チャネルRyR2のリン酸化が最も重要な分子経路の一つとされているが、我々の結果では、アンギオテンシンII投与群で酸化されたCaMKII(ox-CaMKII)の発現とリン酸化されたRyR2(p-RyR2)の発現が顕著に増加したが、イソラムネチン投与群では有意に発現が減少した。また構造的リモデリングにおいてMAPKは最も重要な分子経路の一つとされているが、我々の結果では、アンギオテンシンII投与群でMAPK経路において重要な分子であるERK、JNKのリン酸化が増加したが、イソラムネチン投与群ではリン酸化が抑制された。さらに、RT-PCRの実験では、炎症、線維化に関わる遺伝子Tgfb1、Col1a1の発現がアンギオテンシンIIで増加したが、イソラムネチンを投与することで減少した。 これらの結果から、イソラムネチンが電気的、構造的リモデリングを抑制する主な経路を明らかにすることができた。
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