研究課題/領域番号 |
22K20733
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
中島 恵一 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70362150)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ペリサイト / 骨格筋 / NG2陽性細胞 / サルコペニア |
研究開始時の研究の概要 |
高齢化社会を背景として加齢に伴う筋量減少(サルコペニア)の病態が医療上大きな問題となっているが、骨格筋維持・再生には未だ解明されていない細胞が存在していることが示唆されている。申請者が所属している研究チームで発見されたNG2陽性毛細血管周細胞の一部の細胞群(CapSC)は、高い骨格筋分化能を有していることから、生体内でも骨格筋の維持・再生に重要な役割を果たす可能性が高い。本研究では、NG2陽性細胞欠損誘導マウスを用いてCapSCの骨格筋維持・再生における役割を証明する。さらに、CapSCから骨格筋への分化誘導に関与する分子メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
Neural-glial antigen 2(NG2)陽性ペリサイトの一部の細胞群 (Capillary Stem Cell, CapSC)は、in vitroで骨格筋に分化するだけでなく、筋ジストロフィーモデルマウスの細胞移植実験において、骨格筋線維への分化を介した高い病態改善効果を認めた。つまり、CapSCは生体内でも骨格筋幹細胞として働く可能性があるとともに、骨格筋再生不全を呈する疾患の細胞治療に臨床応用することが期待できる。そこで、本研究では遺伝子改変マウスを用いてNG2陽性ペリサイトが、生体内においても骨格筋に分化することを示すとともに、その分化メカニズムを解明することを目的としている。 令和4年度は、マウスにおけるNG2陽性ペリサイトの欠損が、骨格筋維持に及ぼす影響について解析した。具体的には、NG2-CreERT/diphtheria toxin fragment A (DTA)マウスを作出し、タモキシフェン投与によりNG2陽性ペリサイト特異的にDTAを発現させ、同細胞欠損が骨格筋に及ぼす影響について、免疫組織学的、運動生理学的に解析した。その結果、NG2陽性ペリサイト欠損マウスの長期観察では、タモキシフェン投与後、早期には筋重量や筋断面積の低下は認めなかった。しかし、2か月時点から体重増加率及び運動機能の低下傾向を示し、4か月時点の下腿筋組織では、主に遅筋で構成されるヒラメ筋の萎縮が進行していた。 また、細胞レベルの実験では、ペリサイトから骨格筋への分化メカニズムについて解析するために、抗NG2抗体を用いたMagnetic cell sorting(MACS)によって、マウス脂肪組織からNG2陽性ペリサイトを採取し、その培養方法について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験では、遺伝子改変マウスの生理学的、免疫組織学的解析により、骨格筋維持におけるNG2陽性ペリサイトの重要性を明らかにすることができた。一方、細胞レベルの実験では、純度の高いNG2陽性細胞の採取・培養方法の検討に時間を要し、ペリサイトから骨格筋への分化に関与する遺伝子の網羅的解析に進めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、前年度に実施できなかった細胞レベルでの網羅的遺伝子解析を進める予定である。具体的には、マウスからNG2陽性ペリサイトを採取し、骨格筋分化を誘導させ、既知の骨格筋分化に関わるマーカーの発現動態を解析するとともに、新たな遺伝子を探索し、その機能を解析する。 また、通常生育時の遺伝子改変マウスの解析に加えて、骨格筋損傷後の再生におけるNG2陽性ペリサイトの役割を解析する。
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