研究課題/領域番号 |
22K20739
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
若井 恵里 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40964896)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シスプラチン / 難聴 / 大規模医療データベース |
研究開始時の研究の概要 |
白金製剤であるシスプラチンは、様々な悪性腫瘍に有効な抗がん薬である。しかし、不可逆性の内耳聴覚障害が惹起され、患者の生活の質を著しく損なう。特に小児では、難聴は言語の発達にも影響するため、深刻である。治療薬としては十分なエビデンスはなく、現在有効な治療法はない。そこで本研究では、大規模医療データベースによる網羅的分析からシスプラチン難聴の保護薬となりうる既存承認薬を同定する。そして、モデルマウスの内耳を電気生理学的・組織学的・分子生物学的手法により解析し、薬の聴覚保護効果とその作用機序を示す。これらの臨床データと基礎実験を融合した方法により、シスプラチン難聴の克服を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、FAERSデータを用いてシスプラチン難聴に対する保護薬を同定し、マウスモデルを用いて候補薬の保護効果を検討した。FAERSデータベースからシスプラチン難聴に対する保護薬としてランソプラゾールを候補薬として選択した。また、シスプラチン投与マウスは、コントロールと比較して、32kHzの高周波領域におけるABR閾値が上昇した。シメチジンとの併用は、シスプラチン単独投与に比べてABR閾値を低下させた。しかしながら、ランソプラゾールとの併用は、シスプラチン単独と比較してABR閾値に変化は見られなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、FDA大規模有害事象報告(FAERS)データベースの解析から副作用の少ないランソプラゾールを見出した。さらにその効果をマウス内耳に対して組織学的・分子生物学的・in vivo生理学的手法により検証した。このような、臨床のデータサイエンスと多角的な実験科学的アプローチを融合した治療薬開発は、内耳疾患ではかつてない先進的な試みである。また、安全性が認められている既存承認薬を活用することにより、臨床の現場での使用を迅速に実現できる。シスプラチン難聴は成人・小児を問わず深刻な副作用であることから、本研究は社会的意義が極めて高い。
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