研究課題/領域番号 |
22K20753
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小倉 由希乃 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60966597)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | インフルエンザウイルス / インフラマソーム / 急性炎症応答 / サイトカインストーム / ウイルス学 / Arf6 / ASC / 炎症応答 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
インフラマソームは病原体やダメージ関連分子を認識して炎症性サイトカインの放出を誘導し、炎症反応において中心的役割を果たす。インフラマソームはプリオン様の性質をもち、凝集して細胞外に分泌され、細胞間を伝播する。これは隣接する非感染細胞からの連鎖的なサイトカイン分泌を促し、過剰な炎症反応を誘導する。本研究では(1)マクロファージによる細胞外ASC speckの貪食機構と、(2)伝播後のASC動態に着目した炎症シグナル制御機構を明らかにすることで、過剰な炎症応答が誘導されるメカニズムの解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
インフラマソームの細胞間伝播を介したサイトカインストーム誘導機構の解明を目指した。マクロファージ特異的な低分子量Gタンパク質Arf6欠損マウスにおいて、インフルエンザウイルス感染後の病態が著しく改善することを明らかにした。メカニズム解明に向けてin vitroにおける評価系を構築し、マクロファージがArf6の活性化を介して、インフラマソーム構成因子ASCのプリオン様凝集体(ASC speck)を貪食することで、炎症性サイトカインの分泌を促すことを見出した。これにより、感染に応答してArf6依存的に細胞外ASC speckが貪食されることで、サイトカインストームが誘導される可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
インフラマソームは病原体やダメージ関連分子を認識して炎症性サイトカインの放出を誘導するタンパク質複合体である。一方で、インフラマソームは細胞間を伝播し、非感染細胞においても炎症を誘導するシードとなる。本研究では、インフルエンザウイルス感染病態において、インフラマソームの細胞間伝播にはArf6が必要とされることを明らかにし、Arf6が過剰な炎症応答の治療標的となる可能性を見出した。この機構は感染病態のみならず、各種炎症疾患の治療法開発に応用できると期待される。加えて、本研究で確立された細胞間伝播インフラマソームによる炎症応答の評価系は、更なる炎症シグナル伝達機構の理解に役立つと考えられる。
|