研究課題/領域番号 |
22K20758
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 能永 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (60614013)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫療法抵抗性癌 / 免疫療法抵抗性がん / がん免疫療法 / 治療抵抗性がん / オートファジー / TNFシグナル経路 / T細胞 / 癌免疫療法 / 治療抵抗性癌 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫療法は他の治療が無効な癌患者にも長期寛解を導入可能で、癌治療の切り札になり得る。しかし半数以上で治療抵抗性となるため、抵抗性癌の克服が重要な課題である。抵抗性癌は感受性癌細胞から生じた少数の抵抗性細胞から始まる。申請者はこれまでに免疫治療抵抗性癌細胞を感受性化できる遺伝子標的を網羅的に同定した。本研究ではその分子機序を明らかにする。さらにその理解に基づいて抵抗性細胞を感受性化し、免疫感受性癌細胞に対するT細胞反応の周囲環境への波及効果を利用して、同一癌組織内の抵抗性癌細胞を少数のうちに殺傷することで、抵抗性癌の出現を防ぐ、という新規治療戦略を実証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、T細胞によるMHC-I欠損抵抗性がん細胞の殺傷を可能にするような新しい分子経路がないか、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングを用いて探索した。オートファジーとTNFシグナル経路を標的として見出した。Rnf31遺伝子(TNFシグナル経路)とAtg5遺伝子(オートファジー関連遺伝子)を不活化すると、MHC-I欠損がん細胞がT細胞由来サイトカインに対して感受性化しアポトーシスによって死滅することが分かった。その分子機序として、オートファジーを阻害することで、サイトカインによる腫瘍細胞のアポトーシス誘導が増強されることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、治療抵抗性の原因の一つである腫瘍の不均一性に着目し、そこに含まれる抵抗性がん細胞のTNFシグナル経路とオートファジーを標的として不活性化することが、新たな治療戦略となりうることを示した。例えば、免疫チェックポイント阻害剤による治療を行う際に両経路に対する薬剤を併用すれば、MHC-I欠損がん細胞の増加による治療抵抗性がんの出現を抑えることができる可能性がある。
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