研究課題/領域番号 |
22K20759
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小森園 亮 京都大学, 医生物学研究所, 特定助教 (10964637)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ウイルス学 / ウイルス進化 / RNAウイルス / RNA分解 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む真核生物には突然変異などによって本来より上流に終止コドンが出現してしまった不良なmRNAを探知し、選択的に分解するRNAの品質管理システムが存在する。近年、このナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)は内在性RNAだけでなくRNAウイルスに対しても作用すると明らかとなった。NMDは変異によって生じる異常なRNAを選択的に探知・分解するという観点から、この機構はRNA分解を介してウイルス進化にも影響を与える進化制御機構であると仮説を立てた。本研究では、このRNA品質機構であるNMDが急性感染性ならびに持続感染性RNAウイルスの進化を左右するかNGSによりゲノム配列を詳細に解析する。
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研究成果の概要 |
ウイルス感染と宿主のNMD機構の相互作用を解析するため、主要因子であるUPF・SMG・G3BP1遺伝子など複数の遺伝子ノックダウン細胞をレンチウイルスベクターにて樹立し、RNAウイルスであるボルナ病ウイルス・コクサッキーウイルスB3(CVB3)を接種した結果、有意に上清および細胞中ウイルスRNA量が増加した。同様に、NMD阻害剤であるNMDI-14を各感染細胞に投与した結果ノックダウン細胞と同じくウイルスRNA上は有意に増加した。以上のことから、宿主のNMD機構または各主要因子はRNAウイルスの複製を抑制する抗ウイルス作用を有していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではNMD機構がRNAウイルスの複製を制御していることが明らかとなったことから、NMD機構、特にUPFやSMG遺伝子を標的とした抗ウイルス薬の開発に貢献すると期待できる。またNMDとウイルス感染の相互作用の詳細はいまだ未解明であるが、RNAウイルスが感染に利用する新たな宿主機構として知見を得た意義のある成果といえる。本研究で用いたCVB3においては、ある特定の細胞種では細胞傷害性なしに長期間子孫粒子を産生する持続感染を成立させることが明らかとなり、急性感染と持続感染を1つのウイルス種で並行して解析できる実験系を確立させたことは本研究のみならず今後のウイルス学研究に活用されると予想される。
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