研究課題/領域番号 |
22K20770
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白柏 魅怜 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (10934367)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 自律神経 / T細胞 / SLE / 自律神経障害 / 全身性エリテマトーデス / 迷走神経 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)は多臓器病変を呈する自己免疫疾患であり、遺伝的素因や環境因子など多くの因子が関与している。そのため、基礎研究で見つかった治療が有効でないことがあり、有効な治療を行うには事前に層別化できることが理想である。また、免疫治療は感染症や生活習慣病などの副作用が問題になることが多い。近年、慢性炎症疾患に対して迷走神経刺激療法(VNS)が注目されている。SLEに対するVNSの治療応用を目指して、迷走神経がSLEに及ぼす免疫学的作用の解明を行う。
|
研究成果の概要 |
B6SKGはHRVの結果、B6WTに比べると副交感神経の活動性が高いかった。B6SKGに迷走神経切断を行い切断群(Vx)と偽手術群(sham)に分けて、表現型について評価を行った。糸球体における免疫複合体沈着はVx群で弱く、抗ds-DNA抗体の上昇も軽度であった。FACSではTfhはVxで低い傾向であった。B6SKGはVxでβ2ARの発現が軽度の上昇を認め、血清中のNAdが高い傾向にあった。VxではB6SKGの糞便のLactobacillus属の減少を認めており、自律神経を介した腸内細菌とTCRシグナル異常によるT細胞分化異常の是正がSLEに寄与していると考えられた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己免疫疾患への迷走神経刺激術については疼痛や疲労などに対して検討されているが、疾患活動性に対する影響をみたものは多くなかった。今回、腸管の免疫に重要な役割を持つT細胞の伝達異常を背景にもつモデルで迷走神経切断を行ったところ、疾患活動性は改善した。このことは、遺伝的背景に応じて、自律神経に与える影響が異なることを示しており、どのような症例が自律神経に対する介入を行うべきかを検討する必要があることにつながる。今回、迷走神経を切断することで腸内細菌の変容を認めており、表現型も予想とは異なるものになった。胸腺におけるT細胞選択異常が、自律神経を介した腸管免疫にも影響を与えることがわかった。
|