研究課題/領域番号 |
22K20775
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 緑 九州大学, 医学研究院, 助教 (40965240)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HPV / 頭頚部癌 / 頭頸部癌 / HPV関連頭頚部癌 / エピトランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部扁平上皮癌は、予後不良の疾患であり近年はHPV関連の発癌が急増しているが、ウイルス感染から発癌に至る詳細機構は不明である。我々は、頭頸部癌のHPV・非関連の病態の差異に着目し、EGFR遺伝子異常・ミスマッチ修復異常、治療標的となるPD-L1発現などを報告してきた。しかし、HPV関連癌と非関連癌の差異は遺伝子異常のみでは説明できないことが多い。近年、RNAが修飾されることで、RNAの安定性・翻訳効率が制御されることで遺伝子発現量が調整されるという概念が登場した。本研究は、HPV関連頭頸部癌の病態をこのエピトランスクリプトームによる遺伝子発現制御の破綻という観点から解明し、新規創薬標的の探索をめざす。
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研究成果の概要 |
中咽頭癌におけるHigh risk HPV関連癌の割合や予後が解明されてきたが、下咽頭癌・喉頭癌においては十分な検証データはなかった。本研究においては、患者組織サンプルの免疫組織化学染色やChromogenic in situ Hybridization法による解析により、HPV感染はRbの発現状態と関連性を示した。本研究においてもHPV感染は非感染癌と比べて有意に予後良好であったが、腫瘍の局在や広がり方によっては、HPV陰性と陽性で予後に差がないことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般的に予後不良と言われてきた頭頚部癌のなかでも、HPV関連癌は予後良好であることが解明されている。HPV関連癌の病態解明は、過剰治療を防ぎ、機能の温存と治療後のQOLの改善へ寄与する。HPV関連癌であっても腫瘍の局在や進展によってはHPV陰性の癌と予後に差がない場合があるという本研究結果により、HPV陰性の癌と同等の治療強度が求められるHPV関連癌があることが考察され、治療方針決定にHPV関連癌かどうかだけではなく、腫瘍の解剖学的な情報も重要となりうることが示された。
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