研究課題/領域番号 |
22K20777
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水江 由佳 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20464480)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 抗体工学 / シスプラチン耐性 / 癌抗原 / 抗体医薬 / がん免疫 / 人工抗体 / がん抗原 / 尿路上皮癌 / 化学療法抵抗性 / 膀胱癌 |
研究開始時の研究の概要 |
膀胱癌は、泌尿器系悪性腫瘍の中でも致死率が高く、シスプラチン化学療法に対する抵抗性が大きな課題となり、新規治療法の開発が求められている。我々は、膀胱癌由来の細胞の中からシスプラチン耐性株を樹立した。この耐性株ではDNA修復に重要な役割を持つ‘Claspin’という分子の一部が抗原ペプチドとしてヒト白血球抗原(HLA)-A2 に提示され、癌細胞を破壊する細胞傷害性T細胞に認識されることを見出した。本研究では、‘HLA-A2分子に結合するClaspin ペプチド’を特異的に認識する人工抗体の作製を目的とし、Claspin を標的とする化学療法抵抗性膀胱癌に対する新規抗体医薬の開発につなげていく。
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研究成果の概要 |
がん細胞のHLA-A2が提示するClaspinペプチド(HLA-A2/Claspinぺプチド)を特異的に認識する組換え一本鎖可変フラグメント抗体(scFv)を作製した。このscFvを応用し、二重特異的 T 細胞結合抗体 (BiTE )、scFvにヒトIgG1 Fc領域を連結した二価抗体(scFv-Fc)、およびCD3ζ活性化ドメインとCD28膜貫通ドメインを連結したキメラ抗原受容体 (CAR) T細胞を開発した。それらは、HLA-A2/Claspinぺプチド発現細胞と結合および相互作用を示した。さらに、BiTE抗体は、シスプラチン耐性膀胱がんに対する強い細胞傷害能を誘導できることを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで承認された抗体医薬は、いずれも治療標的となるがん全般に発現する分子を標的としていた。しかし、遺伝学的、機能的に多様ながんの根治を目指す上で、機能的多様性に対応できる治療薬およびバイオマーカーの開発が重要になる。我々は、シスプラチン耐性がん細胞に発現する治療標的として HLA-A2が提示するClaspinペプチドを同定し、本研究において、これを標的しうる特異的抗体を開発した。Claspin は膀胱癌のみならず、腎癌、前立腺癌など様々な癌種においても高発現し、プラチナ製剤耐性を示す悪性腫瘍全般が標的となる可能性がある。シスプラチン耐性癌に対する新規治療薬開発の一助となることが期待される。
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