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生命予後因子CYLDの病態解析を突破口とした難治性卵巣癌の新規薬物療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K20797
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0901:腫瘍学およびその関連分野
研究機関熊本大学

研究代表者

三宅 俊介  熊本大学, 病院, 薬剤師 (70964485)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード個別化医療 / 分子マーカー / 個別医療 / 薬物治療学 / 分子生物学
研究開始時の研究の概要

本研究では、卵巣癌患者の中でも標準治療不応・予後不良な患者群に新規薬物治療を提供することを最終目的として、新規腫瘍抑制遺伝子CYLDに着目した検討を行う。申請者は、卵巣癌組織を用いた病態解析により、CYLD発現の低下が標準治療薬への耐性獲得および遠隔転移の増加を誘導して予後不良の要因となることを見出した。しかし、CYLD発現低下時の腫瘍組織変化の全容は未だ不明であり、そのメカニズムを解明することで、新規治療標的が見出されることが期待される。本研究では、臨床検体の病態解析および網羅的解析によりCYLD発現低下時の悪性化メカニズムを解明し、それに基づく新規治療薬の探索を行う。

研究実績の概要

腫瘍抑制遺伝子 CYLD に着目した分子病態解析により、卵巣癌患者の中でも標準治療不応・予後不良な患者群に新規薬物治療を提供することを最終目的として、本研究期間内では、CYLD 発現低下時の薬剤感受性変化メカニズムを解明すべく以下の2つのサブテーマを実施し研究成果を得た。
【1】PARP阻害剤使用症例を対象とした腫瘍組織でのCYLD発現と臨床データの相関による病態解析
卵巣癌細胞株を用いた実験において、CYLD発現低下がPARP阻害剤感受性を向上させる可能性が示された。そこで、当院で加療した卵巣癌患者のうち、PAPR阻害剤を使用した症例の腫瘍検体についてCYLD免疫染色を行い、腫瘍組織におけるCYLD発現の高低と治療効果の相関を解析した。その結果、CYLD発現が低下した症例でPFSが有意に短いという結果が得られた。これまでに全症例を対象とした検討で、CYLD発現が低下した症例は生命予後が有意に不良であることが見出されていることから、CYLD発現低下による予後不良効果が極めて大きく、PARP阻害剤に対する細胞レベルの反応性よりも予後不良効果の方が強く表れている可能性が考えられた。
【2】網羅的解析によるCYLD標的分子の探索
CYLD発現を抑制した卵巣癌細胞株を用いてプロテオーム解析を行い、CYLD発現低下による各種細胞シグナルへの影響を網羅的に解析した。CYLD発現低下細胞では、細胞の有糸分裂関連シグナルが活性化しており、また、PARP阻害剤処理により免疫関連タンパク質の発現が有意に上昇することが見出された。CYLD発現低下は有糸分裂の障害を介してPARP阻害剤の感受性亢進を引き起こしている可能性があり、さらにそのメカニズムには免疫系のシグナル活性化が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究課題では、CYLD 発現低下時の腫瘍組織変化の分子メカニズムを解明することで、卵巣癌の新規治療法を見出すために以下の手順で実行を計画していた。①腫瘍組織での CYLD 発現と臨床データの相関による病態解析②網羅的解析による CYLD 標的分子の探索③CYLD 発現低下時の新たな治療候補分子標的薬の探索④動物モデルを用いた前臨床試験
しかしながら、2023年9月~2024年3月に研究代表者の予期せぬ病気休職があり、研究の進捗が遅れている。2024年4月より復帰したため、今後は正常に進展することが予想される。

今後の研究の推進方策

研究期間全体の目標である、CYLD に着目した分子病態解析により卵巣癌患者の中でも標準治療不応・予後不良な患者群への新規薬物治療の提供を実現するため、昨年度から引き続き、本年度は以下の項目を中心に研究を実施する。
【1】プロテオーム解析の結果に基づき、有糸分裂関連シグナル、免疫系シグナルその他変動の見られた分子について、卵巣癌細胞株を用いてその発現変動の詳細を確認し、当該分子を標的とした薬剤の感受性プロファイリングを実施する。
【2】前項までに見出された治療薬候補についてマウスモデルを用いた前臨床試験を行い、CYLD 発現を薬剤選択マーカーとする新規治療法について、臨床応用へ向けたエビデンスを構築する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Wnt/β-catenin signaling is a novel therapeutic target for tumor suppressor CYLD-1silenced glioblastoma cells2023

    • 著者名/発表者名
      Kanemaru Ayumi、Ito Yuki、Yamaoka Michiko、Shirakawa Yuki、Yonemaru Kou、Miyake Shunsuke、Ando Misaki、Ota Masako、Masuda Takeshi、Mukasa Akitake、Li Jian-Dong、Saito Hideyuki、Hide Takuichiro、Jono Hirofumi
    • 雑誌名

      Oncology Reports

      巻: 50 号: 5 ページ: 1-12

    • DOI

      10.3892/or.2023.8638

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 腫瘍抑制遺伝子CYLD 発現低下に着目した悪性腫瘍の新規個別化治療法の探索2023

    • 著者名/発表者名
      三宅 俊介
    • 学会等名
      第 7 回日本臨床薬理学会九州・沖縄地方会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 進行卵巣癌における腫瘍抑制遺伝子CYLD発現低下の臨床的意義の解明と治療薬の探索2023

    • 著者名/発表者名
      松山 果穂、三宅 俊介、下村 祐美、金丸 歩美、西郷 智香、成田 勇樹、本岡 大社、岩越 裕、本原 剛志、片渕 秀隆、齋藤 秀之、城野 博史
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-09-01   更新日: 2024-12-25  

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