研究課題/領域番号 |
22K20810
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
篠原 周一 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 研究員 (30966023)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シングルセル / T細胞疲弊 / エピゲノム / 免疫微小環境 / 肺癌 / trajectory解析 / 抗腫瘍免疫 / DNAメチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
がん免疫療法において主要な役割を担う細胞傷害性CD8陽性リンパ球(CTL)が注目されている。CTLは腫瘍と反応したのちに疲弊状態となり、やがて機能不全に陥り、がんが免疫監視機構をすり抜ける要因になっている。 本研究では、疲弊化したCTLをシングルセルレベルでエピゲノム解析を行い、CTLの疲弊メカニズムを解明する。さらに疲弊解除を介した、新たな免疫治療のきっかけとなる機構や分子標的を明らかにする。
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研究実績の概要 |
CTLの疲弊メカニズムの解明において、シングルセル解析により、疲弊化したCTLがどのような状態にあるかを把握することが可能となり、様々なクラスターとの相互作用やネットワーク、免疫学的な分化段階を明らかにできる。我々は6例の肺癌手術切除症例からCD8陽性T細胞をflowcytometryにより抽出し10Xのキットを利用してシングルセル解析を行った。17,247個のCD8陽性T細胞を解析対象とした。Exhausted cluster(Tex)はTim-3, LAG-3, CTLA-4などの免疫疲弊マーカーの発現が高く、疲弊状態にあることがわかった。Progenitor exhausted cluster(Tpex)においては、上記の疲弊マーカーの発現がやや高いものの、Ki-67の発現が有意に高くTexよりも幼弱な集団である。またTCRレパトア解析からTpexにおいてはTexと共通するTCRを持つ集団が存在し、共通の抗原を認識している可能性が示唆された。さらにMonocle2を用いたtrajectory解析により、TpexとTexは連続性を有する分化段階にあり、Texの前段階としてTpexが存在する可能性が示唆された。以上の点から、TpexはTexよりも疲弊していないかつ腫瘍特異的な集団の可能性があると考えられた。さらにTexに関してclonalityの高いTCRを選び、ネオアンチゲンとの反応性を検証する実験系を開発し、その結果複数のTCRとネオアンチゲンのペアを同定することができた。同定されたTCRをもつ細胞集団はほとんどTexに存在していたが、一部Tpexにも共通したTCRをもつ集団を同定しえた。以上の点から、Tpexに存在するネオアンチゲンを認識する集団が疲弊化前段階にありかつ細胞障害活性の高いCTLである可能性が高く、疲弊化メカニズムの解明においてカギになると考えた。
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