研究課題/領域番号 |
22K20814
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
顧 文超 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10967318)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ラジオミクス / ゲノミクス / 放射線医学 / がんの微小環境 / シングルセル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの頭頸部癌の画像診断では、局所の深部組織への進展や壊死などの腫瘍の存在範囲や病変の悪性度を評価してきた。しかし、近年ではゲノム医療に基づいた分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、がん免疫サイクルを考慮した新たな治療が導入されている。その適応には、がん遺伝子パネル検査が保険収載され、治療開始前のコンパニオン診断が重要となっている。本研究では、腫瘍の不均一性やがんの微小環境形成をRadio-Genomics 解析を使ってがんの微小環境を含めた「がん免疫応答」の評価を行う画像診断の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
目的:本研究では、頭頚部扁平上皮癌(HNSC)患者の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療の効果を画像診断とゲノム情報から予測するためのRadiogenomicsモデルを構築する。 方法:105名の頭頸部癌患者の造影CT画像とRNA-seqデータを用いて、バイオインフォマティクス解析を行う。造影CT画像から手動で病変関連領域を設定し、Pyradiomicsを用いて病変の画像的特徴量を取得する。ICI療法の効果の有無による画像特徴量の差を統計学的手法を用いて評価する。RNA-seqデータからも統計的手法を用いて遺伝子候補を選択する。その後、GSEA分析を用いて、免疫経路を分析する。得られた画像情報およびゲノム情報の各特徴量を用いて、機械学習によるRadiogenomicsモデルを構築し、クロスバリデーション法でモデルの性能を評価する。評価は、ROC解析と意思決定曲線分析(DCA)を用いて行う。 結果:GSEA解析により、ICI療法に応答する患者ではCYTOSOLIC_DNA_SENSING_PATHWAYが活性化していることが示されました(P=0.023)。最終的に9つの画像特徴量と17個の遺伝子が選択された。構築されたモデルのAUCは0.941で、高い予測能力が示されました。また、RadiogenomicsモデルはCYTOSOLIC_DNA_SENSING経路と有意な相関性がありました(P <0.05, R =0.462)。 考察:本研究で構築したRadiogenomicsモデルは、免疫療法応答を予測する非常に優れた能力を示した。また、Radiogenomicsが免疫抑制活性化経路と相関性があることがわかり、Radiogenomicsと免疫微小環境一定の関連性が存在すること予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、頭頚部扁平上皮癌(HNSC)患者約100人の画像とゲノムのデータを解析しており、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療の奏功性を画像診断とゲノム情報から予測するためのRadiogenomicsモデルを作成した。Radiogenomicsモデルは、免疫療法応答を予測する非常に優れた能力を示した。また、Radiogenomicsが免疫抑制活性化経路と相関性があることがわかり、Radiogenomicsと免疫微小環境一定の関連性が存在すること予想された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より多くのデータを収集し、可能であれば他の大学からのデータも統合して検証する予定です。解析により得られたゲノム上の重要指標を、mRNAやタンパク発現といった細胞レベルで観察し、ゲノムレベルでの本研究結果の検証を行います。また、臨床症例の切片を用いて免疫療法が効果的なグループと効果の乏しいグループに分類した後、特定の遺伝子を確認する予定です。
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