研究課題/領域番号 |
22K20816
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中宿 文絵 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (50965887)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | p16 / p21 / 細胞老化 / 発がん |
研究開始時の研究の概要 |
細胞老化は、細胞周期が不可逆的に停止する現象で、がん遺伝子の発現でも類似した現象が誘導されることが知られる。 申請者は、細胞老化関連遺伝子p16、p21を発現した細胞を生体内で追跡可能なマウスに腫瘍を形成させたところ、腫瘍細胞ではp21の発現が数日単位で変動することを見出した。本研究は、p16、p21の発現変動と老化細胞への運命決定の関連を明らかにすることを目指す。腫瘍細胞のp16、p21の発現周期同定、MEK/ERKシグナルへの介入、および治療抵抗性との関連を評価する。p16およびp21の変動と老化細胞への運命決定の関連を明らかにできれば、新しいがん治療法開発につながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
2023年度は、老化関連遺伝子の発現の有無が腫瘍細胞の増殖および薬剤応答性に与える影響をin vitroで評価することを計画していた。老化関連遺伝子(p16またはp21)を発現した細胞をEGFPで標識するレポーターマウスに、Krasの発がん性変異体(G12D)を発現させ、形成された膵臓の病変からオルガノイドを作製した。しかしながら、このオルガノイドは、in vitroにおいて長期間継代培養し続けることが困難であった。Pdx1-Cre:LSL-Kras G12D, LSL-Trp53 R172H(KPC)マウスは膵臓がんのモデルとして受け入れられており、この膵臓がん組織から樹立したオルガノイドは、継代培養可能であった。また、このマウス膵臓がん組織は、p16およびp21を発現していることを免疫染色にて確認した。そこで、Kras G12DとTrp53 R172Hを同時に発現誘導するためのプラスミド(tetO-HA_Kras G12D-P2A-Trp53 R172H)を作製し、ES細胞に導入した。qPCRで、Kras G12DとTrp53 R172Hがドキシサイクリン依存的に共発現していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p16またはp21の発現の有無が増殖能および薬剤応答性に与える影響をオルガノイドにて評価する予定であった。Kras G12Dの強制発現で形成された膵臓の病変からオルガノイドを樹立したものの、増殖性を維持したまま継代培養することができなかった。そこで、Kras G12DとTrp53 R172Hを同時に発現誘導可能なコンストラクト(tetO-HA_KrasG12D-P2A-Trp53 R172H)を新たに作製し、ES細胞に導入した。評価に必要な材料の作製が完了しており、オルガノイドを樹立するためのプロトコルの整備も終了しているため、概ね順調に進んだと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今回新たに作製した発がん誘導マウスとレポーターマウスを組み合わせ、ドキシサイクリン依存的にマウス膵臓にがんを形成させる。この膵臓がん組織からオルガノイドを樹立し、細胞老化関連遺伝子(p16およびp21)を発現したことを示すEGFP陽性細胞と陰性細胞の増殖能の比較と薬剤応答性の比較を行う。
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