研究課題/領域番号 |
22K20818
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本宮 綱記 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (30628920)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 転移 / 乳がん / 腫瘍微小環境 / 血管ニッチ / がん転移 / 抗がん剤抵抗性 / 血管性ニッチ / がん微小環境 / 遠隔転移 / 転移ニッチ / 血管内皮細胞 / がん幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
転移性乳癌は、年間数十万人もの患者が死亡している極めて悪質な疾患であり、その分子メカニズムの解明および治療法の確立が強く求められている。近年、二次組織に転移した乳癌細胞は、血管内皮細胞と近接して存在し、「血管性ニッチ」と呼ばれる細胞間クロストークを介してその場に定着・生存し、転移巣を形成することが明らかとなってきた。すなわち、血管性ニッチの機能因子は、まさに転移性乳癌の進行を抑制するための有用な薬剤標的となり得るが、その分子実体は未だ殆ど解明されていない。本研究では、乳癌の肺転移における血管性ニッチ機能因子を同定し、その機能解析を通して転移性乳癌の治療における効果的な薬剤標的を提案する。
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研究成果の概要 |
肺血管内皮細胞から分泌される分子のうち、抗がん剤抵抗性に寄与する分子を探索した結果、SERPINE1を同定した。実際、リコンビナントSERPINE1を用いて乳がん細胞を刺激することで、パクリタキセルに対する抵抗性が向上した。 さらに、転移巣において肺血管内皮細胞でSERPINE1が発現するメカニズムについても解析を進めた。その結果、転移が起こった際に、血管透過性が亢進し、それに伴って肺血管内皮細胞でYAP-TEADが活性化されることによってSERPINE1の発現が上昇することが示された。以上、SERPINE1を阻害することで、乳がん肺転移における抗がん剤抵抗性を抑制できる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
転移性乳癌は、年間数十万人もの患者が死亡している極めて悪質な疾患である。しかし、現在基本的に完治させる方法が存在せず、その分子メカニズムの解明および治療法の確立は急務である。特に、進行した乳がん転移においては、抗がん剤に対する抵抗性が強く、効果的に転移を阻害する方法論が求められている。本研究では、乳がんの肺転移が起こった際に、肺血管内皮細胞からSERPINE1が分泌され、抗がん剤抵抗性に寄与することを明らかにした。SERPINE1は転移性乳癌の治療における効果的な薬剤標的となり得る。
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